フルタイム勤務者の介護食品ニーズとその重要性を探る
近年、家族を介護しながら働く「ビジネスケアラー」という言葉が使われるようになり、その重要性が増しています。キユーピー株式会社が実施した「介護にまつわる意識調査」の結果によれば、特にフルタイムで働く介護者における市販の介護食品の認知と利用が高まっています。この現象は、家事や育児、さらには介護の兼業に忙殺される現代社会において、非常に意味のある変化と言えるでしょう。
調査概要
調査手法: ウェブアンケート
調査期間: 2025年4月4日から4月15日
調査対象: 20~70代の男女52,920名
本調査は、在宅介護の実情とそれにともなう課題解決に向けたデータを収集することを目的としています。その中で目を引くのが、フルタイム勤務の介護者による介護食品、特に「やわらか食」と「とろみ調整」の認知率と購入率の高さです。
認知と購入の傾向
フルタイム勤務者の「やわらか食」に関する認知率は53.5%で、一般的な生活者の15.0%という数字と比べても圧倒的な差があります。さらには「とろみ調整」の認知率も32.7%となり、これは一般生活者全体の6.1%を大きく上回る結果です。
これに加えて、過去一年以内に「やわらか食」を購入したフルタイム従事者の割合は31.5%。これまた一般的な生活者の2.4%と比較しても、かなり高い数字を示しています。特に、介護と仕事を両立させることが難しくなっている中で、即座に食事をつくることができる市販の介護食品へのニーズが際立っています。この背景には、仕事や介護における時間的制約が大きな影響を与えていると考えられます。
時短勤務者や非就労者のニーズ
興味深いことに、時短勤務者や非就労の介護者においても、介護食品に対する利用が一定程度見られました。これは、就業形態を問わず、在宅介護において調理負担の軽減が非常に重要であることを示唆しています。多くの介護者が、自分の限られた時間の中で食事の準備を負担に感じているため、「やわらかさ」「栄養バランス」「おいしさ」を兼ね備えた食事を日々用意するのが精神的にも時間的にもストレスになっています。そのため、便利な介護食品が求められるのです。
介護者からの声
調査では、「介護中は食事を作る気力がなくなり、やさしい献立に助けられています」という参加者の声もあり、これは実際のニーズを裏付けるものです。また、調理に手間がかかる素材で毎回作ることは難しく、簡単に使える介護食品が必要とされているとの意見も寄せられています。
市販の介護食品の意義
この調査からも、市販の介護食品は多様な介護者にとって、単なる食事の選択肢以上のものとなっていることが分かります。時間と精神的余裕をもたらし、より良い介護環境を作るための大切な支援となっているのです。実際、キユーピーでは、すべての介護者と被介護者の「食の安心」と「ゆとりある暮らし」に向けて貢献していくことを掲げています。
まとめ
日本の介護業界は高齢化が進み、介護者が抱える役割がますます複雑化しています。その中で、ビジネスケアラーたちのニーズに応えるための介護食品は、今後も進化し続けることが求められています。キユーピーの調査結果は、この方向性が正しいことを示しており、より多くの人々が食事作りのストレスを軽減できる手段を見つけ出すことに、期待が寄せられます。