世界初演のミュージック・シアター「おてんば」
2025年6月19日、オランダ・アムステルダムで世界初演を迎える新作ミュージック・シアター「おてんば」。この作品は、17世紀の日本とオランダで活躍したコルネリア・ファン・ナイエンローデと、現代のインドネシア人女性キラナ・ディアの架空の対話を通じて、植民地主義やジェンダー、アイデンティティといった現代社会において普遍的なテーマを深く掘り下げています。オランダの権威あるホランド・フェスティバルでの初演が大いに期待されています。
「おてんば」は、オランダの監督ヤン・ファン・デン・ベルグのもと、作曲家の望月京、脚本のジャニン・ブロフトなど、日蘭尼の才能が結集した作品です。能声楽家の青木涼子、インドネシアのソプラノのベルナデッタ・アスターリ、オランダのバリトンミヒャエル・ヴィルメリングらの豪華キャストで演じられます。音楽、演劇、映像など多様な芸術形式を融合させ、新たな形のオペラが誕生しました。
ストーリーの舞台背景
物語は、17世紀の絵画修復に取り組むキラナ・ディアが、アムステルダム国立美術館でコルネリア・ファン・ナイエンローデと出会うシーンから始まります。二人は夜を徹して語り合い、女性としての強さや植民地時代の経験、さらにはアイデンティティに関する深い考察を展開していきます。彼女たちの対話は、AIであるスキャンロボットによって客観視され、物語に新たな深みをもたらします。
コルネリアは、自らの財産を管理することや離婚を求めることも許されなかった時代に、初めて女性として裁判に挑みました。彼女の勇気と自由を求める精神は、現代のキラナと響き合い、その対話を通じて観客にも新たな行動への示唆を与えます。人を救済するはずの「宗教」や、誰もが疑問を持たない「慣習」といった見えない壁に挑み、私たちの心にも強烈なインパクトを与える作品です。
主な見どころ
- - 異文化の融合:日本の伝統芸能の能と西洋のクラシック音楽が融合したユニークな舞台。
- - 豪華キャストとクリエイティブチーム:国際的に活躍する演出家や作曲家、俳優たちの共演。
- - 普遍的なテーマ:植民地主義やジェンダー、アイデンティティについての深い掘り下げ。
- - 革新的な演出:光や影、動きと静止、声と身体表現の多様な融合。
このミュージック・シアター「おてんば」は、私たちが抱える現代の問題にも目を向けさせてくれる深いメッセージ性を持っています。ぜひ皆さんも、この新しい舞台芸術に注目してみてください。公演は6月19日から21日まで、アムステルダムのムジークヘボウで行われます。オランダと日本の文化の架け橋として、素晴らしい体験になることでしょう。