デンマークと日本のきこえに関する意識調査から見える課題と可能性

最近、デンマークと日本で実施された「きこえ」に関する意識比較調査の結果から、両国の認識の違いと、それに伴う課題や可能性が浮き彫りになっています。この調査は、世界的にトップクラスのシェアを誇る補聴器メーカー、GNヒアリングジャパン株式会社によって行われました。

デンマークの前向きな認識

デンマークでは約半数以上が補聴器に対して好意的で、補聴器は会話やコミュニケーションを支援する「前向きなツール」として捉えられています。聞こえにくさは身体機能の変化と受け止められ、メガネ同様に生活に必要な道具とする考えが広がっています。このような認識のもと、補聴器の使用者は社会的に受け入れられる存在となり、ネガティブな印象は少ないのです。

日本のリアルな状況

一方で、日本では「聞こえづらさ」を感じていても、誰にも相談しない傾向が強いことが明らかになりました。調査結果では、大多数の日本人が補聴器について特に意見を持たないか、フラットに受け入れていることがわかります。このことは、高齢化によって聞こえの変化があることを「当然」と受け止め、必要なアクションに結びついていない可能性を示唆します。

日本では、「難聴=ネガティブな印象」とは限らず、多くの人が抱える複雑な感情が垣間見えました。しかし、補聴器に対するあまりにも薄い認識が、必要な相談行動や補聴器の利用不可に繋がっているかもしれません。

意識の変化が求められる日本

補聴器の使用に対する意識を高めるためには、日本でも「補聴器がコミュニケーションを支援するアイテム」として認識されていくことが重要です。実際、デンマークと比較して相談先がわからないことや相談に対する抵抗感が存在するため、解決策として「相談しやすい環境」を整えることが求められます。

また、デンマークでは身体的な変化を「ツールで克服するもの」ととらえる意識が根強く、多くの人がそれによって聞こえの問題に対してアプローチしています。これに対して日本も同様の意識を広げ、「例えば補聴器がある」というルートを示すことで、行動につなげる余地はまだあると考えられます。

補聴器のイメージ

補聴器に対するイメージにおいても両国で大きな差が見られました。デンマークでは「前向きに対処している」といった肯定的な意見が多く、補聴器が生活を支える便利なアイテムとして自然に受け入れられています。一方日本では、「特に何も思わない」といった回答が多く、「ネガティブにもポジティブにも感じない」といった印象を持つ人が多い状況です。

このことから、日本でも補聴器の重要性や機能を伝えることで、自分の聞こえに対する前向きな価値観が形成されれば、利用率が増加し、より多くの人々がその恩恵を受けられるようになるかもしれません。