発酵文化の未来を拓く「発酵を科学するラボ」設立背後のストーリー

発酵文化の未来を拓く「発酵を科学するラボ」設立の背景

日本独特の発酵文化は、数千年の歴史を背景に育まれたものであり、世界的にも評価されています。しかし、少子高齢化や地域の過疎化に伴い、国内市場は減少傾向にあります。そこで、長岡技術科学大学と発酵デザイナー小倉ヒラクが手を組み、発酵文化を科学的に研究する「発酵を科学するラボ」を設立しました。このラボでは、日本各地の発酵文化を掘り起こし、それを基に現代社会にマッチした新しい価値を創造していくことを目指しています。

日本の発酵を世界の共有財産に

「発酵を科学するラボ」の目標は、発酵にかかわる文化的価値や健康機能、地域独自の技術の蓄積を科学的に解明し、それを世界中の人々に伝えることです。このために、ラボでは最新の微生物培養装置や人類学的なリサーチ機能を活用し、地道な研究を重ねていくことに注力しています。

具体的な研究プロジェクト

初めに取り組む研究は、宮崎県の乳酸発酵によるたくあんの研究です。シンプルな原料から生まれる奥深い酸味を発酵の視点から科学的に解明することで、地域独自の発酵食品の新たな価値を生み出す予定です。

また、ラボでは地域の食品センターや高等専門学校との連携を強化し、共同研究を通じて日本各地のユニークな発酵食品の魅力を発信します。これにより、地域全体の発酵文化を盛り上げると同時に、地域経済にも貢献しようとしています。

科学とデザインの融合

「発酵を科学するラボ」の背後には、微生物学の専門家である小笠原博士と発酵デザインのエキスパート小倉ヒラクのコラボレーションがあります。科学と文化、それぞれ異なる視点からアプローチすることで、伝統的な発酵文化を現代の消費トレンドに合わせた形で再活性化し、社会に還元することを目指しています。

この研究成果は、単なる商品開発にとどまらず、ブランド構築にも力を入れる予定です。科学的根拠に基づいた価値を提供することで、多くの人々に発酵文化の魅力を伝えていきます。

発酵文化の国際化

グローバルな視点で見ると、北欧やアメリカでは日本の発酵文化に対する関心が高まっています。この状況を追い風に、JAPAN HAKKO BRANDを確立することが求められています。発酵を科学的に研究し、その成果を世界に広めることで、日本の発酵文化を国境を越えた共通財産として発展させようとしています。

地域資源を生かしたブランド戦略

「発酵を科学するラボ」では、地域資源を最大限に活用し、各地域の特色を生かしたブランド戦略も展開します。地域農業や漁業、観光業など、発酵に関わるさまざまな業種と連携しながら、地域全体を潤すブランドを築き上げることが目標です。このブランディングにおいては、文化的価値、健康機能、地域独自性の3つの側面がカギとなります。