中野製薬、AIを活用して毛髪のダメージを可視化
最近、髪の毛の健康状態を測定するための新たな技術が登場しました。それが中野製薬と株式会社KNiTが共同で開発したAIを活用した毛髪ダメージ解析プログラムです。このプログラムは、従来の手動による評価法から進化し、画像解析に基づいてダメージの度合いを客観的に推定することが可能となっています。
施術における新たなアプローチ
美容院でのヘアカラーやパーマなど、施術を行う際には髪の状態に応じた薬剤選びが重要です。しかし、これまではこの判断を美容師の経験に依存している部分が多く、髪のダメージを正確に判断することが難しいという課題がありました。特に、髪の表面を覆うキューティクルの重なり枚数は、毛髪の健康状態を判断する上で欠かせない指標です。
キューティクルは非常に薄く、通常は6〜10枚重なっており、外部の刺激によってダメージを受けて欠損します。このため、何枚が残っているかを正しく分析することで、どれだけ髪が傷んでいるかを知る手助けになります。新しいAIプログラムは、このキューティクルの状態を高精度で推定できるのです。
AIによる解析の仕組み
従来の方法では、研究者が髪を断面で観察し、手作業でキューティクルの重なり枚数を測定していました。このため、精度に限界があり、サンプル数も制限されていました。しかし、新たに開発されたプログラムは、髪の表面を撮影した画像からAIが自動的にデータを解析し、キューティクルのデータを基にダメージ度を算出します。
ここで使われるのが「GeXeL(ジクセル)」という画像解析システムです。このシステムを通じて取得されたデータは、今後の毛髪ケア商品や施術法の選定に大きな影響を与えることでしょう。外部からの刺激が髪にどのようなダメージを与えたのかを定量的に把握できることは、今後の美容業界にとって大きな価値を生むことにつながると期待されます。
共同研究の結果
この共同研究には、10代から70代までの約150名の日本人男女の毛髪サンプルが使用されました。研究チームは、毛髪を顕微鏡で観察し、キューティクルの重なり枚数を計測すると共に、AI画像認識技術を利用して、毛の特徴を数値化しました。その結果、特定の特徴量とキューティクルの枚数の間には明確な相関関係が見つかり、機械学習モデルが成立しました。
今後の展望
中野製薬は、この技術を新たなサービスとして提供することを検討しています。AIによる毛髪ダメージ解析は、美容師はもちろん、一般の人々にとっても非常に役立つ情報となるでしょう。これにより、美容室での施術がより効果的で個々のニーズに即したものとなることが期待されます。
髪は女性にとって重要な美の要素です。この新たな技術の導入によって、私たちの髪に対する理解が深まり、さらに美しさを増すためのサポートができるかもしれません。このプログラムがどのような変化をもたらすのか、今後の動向に注目が集まります。