地域をつなぐ新しい農業の形
福島県矢吹町では、2007年から環境に配慮したイノベーティブな農業に取り組んでいます。東京農業大学との連携で始まったこのプロジェクトは、「田んぼの学校」を設立し、子どもたちや地域住民が共に田植えや稲刈りを行う場となっています。特に、カブトエビを利用した環境に優しい農法が注目されています。
カブトエビ農法の魅力
カブトエビは、恐竜の時代からほとんど姿を変えずに生きている「生きた化石」として知られています。この甲殻類は水田に生息し、雑草の新芽を食べることで自然な草取りが可能となるため、「田んぼの草取り虫」とも呼ばれています。近年、矢吹町ではカブトエビの生息が確認され、その環境で育ったお米が『カブトエビと育むやぶきのお米』として誕生しました。
環境保護と農業の融合
カブトエビ農法は、農薬や化学肥料を極力使用しない栽培方法です。カブトエビは水質の変化に非常に敏感であり、そのため彼らが生息する水田は、自然にやさしい環境で栽培されていることを示します。カブトエビの卵は“クリプトビオシス”と呼ばれる仮死状態に入ることができ、環境の変化にも耐えることができます。これにより、田植えのタイミングに合わせて自然に孵化します。
田んぼの学校とは?
「田んぼの学校」は、主に矢吹町内の小学五年生を対象とし、カブトエビを利用した有機農法を学ぶ場です。地域の農業関係者や大学の教授たちの協力を得て、農業や自然環境の大切さを次世代に継承することを目的としています。毎年6月に田植え、10月に稲刈りを行い、地域の子どもたちが実際に農業を体験することで、より深い理解を促しています。
大桃美代子さんが校長
田んぼの学校の校長にはタレントの大桃美代子さんが就任。彼女は地域活動や子どもたちとの交流を大切にし、農産物の魅力を発信しています。また、特別講師にはヤマザキ動物看護大学の長島孝行教授が参加し、実践的な知識を伝える貴重な場となっています。
お米のお披露目イベント
2025年10月15日には、田んぼの学校で『カブトエビと育むやぶきのお米』のお披露目会が予定されています。この新米は、矢吹町の新たな魅力として多くの人々に紹介されます。さらに、矢吹町は東京都三鷹市と姉妹都市の関係にあり、毎年「三鷹の森フェスティバル」に参加しており、特産品の販売や地域の魅力を発信しています。
最後に
矢吹町のお米は、環境へ配慮しながらも美味しさを追求した貴重な存在です。地域の未来を育むこの取り組みは、次世代に受け継がれるべき重要なプロジェクトです。「カブトエビと育むやぶきのお米」は、ただの農産物以上の意味を持つでしょう。