大阪・関西万博が開催される中、ポーラ・オルビスグループが注目の試みを実施します。それは、化粧品容器から作られた再生プラスチックを利用したベンチを万博会場に設置し、その実効性を試すというものです。このプロジェクトは、持続可能な未来を見据えたものとして、多くの来場者に体験してもらうことを目的としているのです。
このベンチは「島の蜃気楼」というトイレ施設の近くに設置され、合計2台が用意されています。デザインは、SKINとEMULSIONの2種類で、環境に配慮した素材としてPET樹脂や間伐材が使用されています。特に注目すべきなのは、これらのベンチが単なる座る場所ではなく、化粧品容器を別の物として作り直す可能性を示すアートとしても機能する点です。
ポーラ・オルビスグループは、1985年からリフィル容器や詰め替え用化粧品に取り組んできました。それ以来、化粧品容器の軽量化や非石油由来の素材の導入など、持続可能な社会に向けた研究開発が進められています。また、2023年には「Plastic Revives展」を開催し、多くのアーティストとコラボレーションしてきました。このベンチの設置は、その延長線上に位置しており、実際に市民が触れることで、再生プラスチックの可能性を体現することを狙っています。
具体的には、万博会場という多くの人が訪れる環境で使用することで、紫外線や雨、熱による品質変化を調査し、化粧品容器由来の再生プラスチックの利用可能性を広げていく予定です。さらに、今後のデザインや製品開発に必要な知見を集めていきます。
ベンチのデザインコンセプトは、ポーラ・オルビスグループの化粧品科学から派生しています。肌触りの良さをテーマにした独自の乳化技術や、肌理(きめ)の美しさを視覚と触覚両面で表現し、体感できるインタラクティブなデザインを目指して創作されました。来場者にとって「触ってみたい」と思わせるようなデザインの工夫が随所に施されています。
今後、これらの取り組みを通じて、再生プラスチックを利用した製品の新たな感性やデザインの方向性を探求し、持続可能な社会へのつながりを強化していくことが期待されています。万博に訪れるたびに、このベンチに座ることで新たな気づきや発見があるかもしれません。サステナビリティを体感しながら、未来に向けての一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。