169年の歴史を持つ「かどや製油」が目指す持続可能な小豆島
香川県の小豆島で創業167年を誇るごま専門メーカー、かどや製油が地域活性化に取り組んでいます。今年も「ごまを通じて持続可能な島を目指す」プロジェクト「ごまのみらい小豆島プロジェクト」を実施しました。この取り組みは、地元・小豆島の魅力を子どもたちに伝え、地域に根ざした食文化を育む試みです。
フィールドワークで感じるごまの魅力
9月9日には、土庄町の土庄小学校から3年生78名を招き、フィールドワークが行われました。場所は、廃校となった旧四海小学校で、子どもたちはごまの束乾燥の作業に挑戦しました。普段は目にすることのない、ごまの束が並び、その光景に興奮した様子の子どもたち。その中で、地産地消推進協議会の前田会長は、「このプロジェクトは、土庄町や小豆島を盛り上げるために始まった」と挨拶。さらに、かどや製油の小豆島工場長の石田氏が、「70キロのごまからは130本のごま油しか作れない」といった貴重なお話をしました。
子どもたちは「乾燥ごまのたたき作業」や「ふるい作業」、「唐箕(とうみ)作業」といったプロセスを体験し、実際にごまを取り出す楽しさを味わいました。中には、「少し難しかったけど楽しかった」といった声も上がり、食材が私たちの食卓に届くまでの過程を深く理解する機会となりました。
地域活性化のための挑戦
体験学習の後、陽当の里 伊喜末の濱中会長が「様々な作業を経て収穫されたごまを使用して、かどや製油の製品は作られます。これが地域の活性化につながるのです」と締めくくりました。子どもたち代表は、「ごまのプロセスを学び、これからはごまを大切に食べることを心がけます」と感謝の意を表しました。
工場見学での新たな発見
午後には、かどや製油の小豆島工場へ移動し、工場見学を行いました。ここでは、ごま油の歴史や作り方を学び、子どもたちは真剣に耳を傾けていました。特に今年は、2025年に収穫したばかりのごまの搾油を見学する特別な体験も用意されました。子どもたちは、色と香りの違いを実際に感じながら、素材への理解を深めることができました。
未来に向けたつながり
「ごまのみらい小豆島プロジェクト」は、2036年にはごまを使用した給食の提供を計画しています。地域の農業振興や遊休地の活用などに取り組むことで、過疎化が進む地域を元気づける方法の一つとなるでしょう。多くの子どもたちが地域の資源を食と結びつけ、その魅力を再発見することができるこのプロジェクトは、持続可能な社会の実現に向けた真剣な試みです。
かどや製油の取り組み
かどや製油は、1858年に設立されたごま専門のメーカーとして、国内外で高い評価を受けています。その企業理念は、「ごまの価値を最高限まで高めることで、世界に貢献する」こと。167年間の歴史を持つ同社は、地域に根ざした活動を通じてさらなる価値を創造しています。世代を超えて続くごまの魅力を感じながら、持続可能な島づくりを一緒に考えていきたいものです。