業界連携で進化するPETリサイクルの新たな取り組み
昨今、環境問題への関心が高まる中で、プラスチックのリサイクルは重要なテーマとなっています。そんな中、飲料業界の巨頭であるキリンホールディングスをはじめとする9社が手を組み、飲料用ペットボトルと非食品用途のPETを活用した新たなケミカルリサイクル(CR)の取り組みを開始します。この取り組みは、国内初となる非食品用途PETを飲料用PETボトルに再生する試みであり、プラスチック資源の効率的な循環を目指しています。
何が変わるのか?
今回のプロジェクトでは、使用済みの飲料PETボトルだけでなく、工業用フィルムや化粧品ボトル、自動販売機で使用された販売サンプルもCRの原料として活用されます。これにより従来のリサイクルでは取りきれなかった資源の再利用が期待されます。さらに、工業用フィルムはTDKと村田製作所が供給し、化粧品ボトルは花王とファンケルが店頭回収したものが使用され、自動販売機での不要な商品もリサイクルに貢献します。
リサイクルのプロセス
具体的には、ペットリファインテクノロジーがCRを実施し、生成された樹脂は業界の各社へ供給されます。このプロセスにおいては、各社がCRで再生されたPET樹脂の品質を評価し、飲料用PETボトルや化粧品ボトルに採用するか検討していきます。実際には、キリンビバレッジが2024年4月から飲料用ペットボトルの一部に採用を予定しており、花王も同年5月から化粧品ボトルでの導入を進める計画があります。また、アサヒ飲料やファンケルも今後の採用を視野に入れています。
各社の協力の意義
これまでのリサイクル活動をさらに一歩進めるため、この業界横断的な取り組みが重要です。JEPLANによる高度なCR技術と、キリンのパッケージイノベーション研究所の安全性評価に関する知見が結集され、今回の実現に至りました。このような連携は、持続可能なプラスチックの活用に向けた新たな道を切り開くでしょう。
環境への貢献
業界を越えた企業の協力は、使用済みプラスチックの有効活用と温室効果ガス(GHG)の排出量削減に寄与することが期待されています。今後ますます重要性を増すリサイクル技術の進展に、私たちも注目していきたいところです。
この取り組みを通じて、環境に配慮した新たなリサイクルの形が実現し、業界全体の持続可能な未来が築かれることを願っています。