共同配送のイノベーションが生んだ受賞の理由
2025年のサプライチェーンイノベーション大賞において、キユーピー株式会社、キユーソー流通システム株式会社、加藤産業株式会社の3社が共同で取り組んだ「共同配送におけるASN入荷検品レスの実現」が優秀賞を受賞しました。この受賞は、物流業界のさらなる発展と効率化に向けた重要なステップを示しています。
受賞の背景と目的
物流業界は、環境保護や法改正など、さまざまな外的要因によって効率化が求められています。この背景の中、3社は共同での取り組みを決定し、標準ASN(事前出荷情報)の活用を、単独メーカーから複数メーカーの荷物を一緒に配送する共同配送へと広げることで、物流業務全体の生産性向上を目指しました。
これによりドライバーや荷役、事務作業員の負担が軽減され、全体の業務効率が大幅に向上することが期待されています。
具体的な取り組み内容
このプロジェクトでは、主に次の3つの取り組みが行われました。
1.
物流改革の標準化
- 各メーカー毎に異なるシステムや出荷指示のリードタイムを、キユーソー流通システムが一元管理することで、個別対応を減少させました。
2.
納品先の拡大
- 標準ASNシステムを活用し、卸同士での連携を強化。これにより、異なる商流や物流のセンターに対しても、効率化の取り組みを行うことが可能になりました。
3.
取り組み効果の最大化
- 発注単位の見直しや物流機材利用の効率化、さらには紙伝票からデジタル化への移行も進められました。
成果とその影響
この共同配送における取り組みの成果は非常に顕著で、物流業者と荷主の両方で多くの改善が見られました。
- ドライバーが行う検品作業が完全にゼロ化
- 荷役作業がゼロ化され、運行あたりの納品数量が15パーセント増加。
- 入荷検品時間が大幅に短縮され、SKUごとの検品作業が38分からわずか2.5分に押し縮めるなど、93.4パーセントの時間削減が達成されました。
このように、3社の取り組みは実際の業務において具体的な成果を生み出し、物流業界全体のさらなる発展に寄与しています。
今後の展望
キユーピーは今後も、さらなる持続可能な物流体制の構築を目指し、関係企業や業界団体との協力を強化し続ける予定です。業界標準を意識したパッケージの整備や普及活動を進め、これまで以上に効率的かつ効果的な物流の実現に向けて取り組んでいきます。
この受賞は単なる成果にとどまらず、物流業界の未来を照らす重要なステップとなることが期待されています。