魚類の腸内細菌を活用した革新的な養殖技術
株式会社ジェネシア・ベンチャーズは、京都に本社を置くスタートアップ、ホロバイオ株式会社に出資を決定しました。ホロバイオは、京都大学名誉教授の梅田眞郷氏によって設立された企業で、魚の腸内細菌叢を最適化し、その機能を活用した新たな養殖技術の開発に注力しています。
養殖業が抱える課題
近年、世界的な人口増加に伴い、タンパク質需要が高まっています。これを受けて、養殖業は重要なタンパク質供給源として注目されています。しかし、養殖用の魚粉や魚油の需要が急増する一方で、それを原料とするカタクチイワシや他の魚類の資源は減少しています。この問題を解決するため、新たなアプローチが求められています。
ホロバイオの革新技術
ホロバイオは、魚類の腸内細菌の機能を最大限に引き出すことで、養殖魚の成長を促進し、免疫力を向上させる技術を開発しています。この技術は特許を申請済みの「新規生物育種技術」にもとづいており、特に一部の魚種においてはすでに成功を収めています。
さらに、ホロバイオの技術は遺伝子改変を行わずに食性を転換できるため、環境負荷の少ない持続可能な魚の生産が可能です。これにより、養殖業における新たな持続可能な製品、例えば『サステナぶり』と呼ばれるブランド魚の開発へとつながります。さらには、将来的にはマグロやタイ、ヒラメ、サンマなど多様な魚種への展開も計画されており、大きな期待が寄せられています。
資金調達の目的
今回の出資により調達した資金は、以下の活動に充てられる予定です。
- - 魚類の腸内細菌叢を最適化する養殖技術の実用化に向けた研究開発
- - 環境適応型養殖技術の研究開発
- - 事業推進のための人材採用
業界への影響
ジェネシア・ベンチャーズのInvestment Managerである祝煜洲氏は、ホロバイオの技術が養殖業の持続可能性を高め、地域ブランド魚の生産を革新する潤滑剤となると確信しています。特に、閉鎖循環式陸上養殖とも相性が良く、環境負荷を抑えた高付加価値の水産物を安定供給する可能性があると期待されています。
まとめ
ホロバイオの挑戦は、新しい水産業の形を築く一歩となるでしょう。私たちの食卓に並ぶ魚が、より健全で持続可能な方法で生産される未来をサポートするばかりでなく、同時に地域の経済発展にも寄与することが期待されています。ホロバイオの革新技術は、これからの時代の養殖業を支える重要な柱となることでしょう。今後の展開から目が離せません。