KERA CROSS第七弾『シャープさんフラットさん』の始まり
2023年6月19日、ケラリーノ・サンドロヴィッチによる戯曲『シャープさんフラットさん』の東京公演がついに幕を開けました。今回の演出は、これまで舞台に出演していたマギーが手がけることになり、作品への情熱と理解が込められた新たなテイストが期待されています。
この作品は1990年代初頭、バブル経済が崩壊を迎える時代を背景にした物語で、東京から車で3時間ほどの場所にあるサナトリウムが舞台です。このサナトリウムは、入居者がくつろげる談話室やアメニティが整った環境。まるで避暑地のホテルのような贅沢な日常の中、複雑な家庭事情を抱えた人々のドラマが展開されます。
物語の中心となるのは、若き劇作家・辻煙(ツジ ケムリ)。彼は自らの過去や家族との関係、愛する恋人との葛藤を抱え込み、サナトリウムに入居しています。彼の前には、自身の幻想と思われる父親や、元芸人で精神病を患う妻を持つ男性など、様々なキャラクターが現れます。その中で、彼らの人生や人間関係が徐々に明らかになり、物語は深まっていきます。
サナトリウムの住人たちは、それぞれに独自の個性を持ち、入居理由も多種多様。中でも、辻煙の家族や恋人たちの背景や事情が絡み合い、非常に興味深い展開を見せます。また、時には幻想的で奇妙な状況が繰り広げられ、笑いや切なさが入り混じる作品になっています。
キャスト陣の演技力も素晴らしく、特に辻煙を演じた柄本時生は、その狂気じみた演技から目が離せません。また、美果役の高梨臨はヒロインとしてのプライドと恋人への複雑な感情を絶妙に演じ分けています。安達祐実の演じる春奈はギャップのある二役を見事にこなし、その存在感を放っています。
この舞台は単なるコメディではなく、“笑い”の深さや難しさを問いかける作品です。笑いに対する執着や苦しみ、中毒とも言えるその追及は、観客に感情の波を引き起こします。“笑い”の反面に潜む痛みや葛藤が描かれ、観客はただ楽しむだけでなく、作品から得られるメッセージや思想に触れることができます。
演出のマギーは、KEIRA作品へのこだわりと深い愛情を持っており、その期待感は観客にも届いていることでしょう。さまざまな人々が抱える思いを交差させて描くこの群像劇は、希望の光を放ちながらも厳しい現実を感じさせてくれます。
『シャープさんフラットさん』は、東京公演が7月5日まで、名古屋で7月11〜12日、大阪で7月18〜19日と続きます。ぜひ劇場でその魅力に触れてみてください。観客の心に残る作品となることは間違いありません。
公演概要
- - 作: ケラリーノ・サンドロヴィッチ
- - 演出: マギー
- - 出演: 柄本時生、高梨臨、安達祐実、田中俊介、トリンドル玲奈、森準人、岩男海史、白石優愛、土屋翔、小野晴子、松永玲子、マキタスポーツ、堀部圭亮
東京公演
- - 日程: 2023年6月19日(金)〜7月5日(日)
- - 会場: 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
名古屋公演
- - 日程: 2023年7月11日(土)13:00・18:00/7月12日(日)13:00
- - 会場: Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
大阪公演
- - 日程: 2023年7月18日(土)12:00・17:00/7月19日(日)12:00
- - 会場: サンケイホールブリーゼ
【東京公演チケット情報】
詳細は公式サイトやSNSでご確認ください。