ファッション業界の未来を見据えた『アパレル物流研究会』発足の背景と展望

ファッション業界の未来を見据えた『アパレル物流研究会』発足

背景と目的

2023年10月、ファッション業界の主要企業4社が協力して新たに「アパレル物流研究会」を設立しました。この研究会には、株式会社ユナイテッドアローズ、株式会社アダストリア、株式会社バロックジャパンリミテッド、株式会社TSIホールディングスが参加しています。この目的は明確です。物流の共通課題を一緒に解決し、ファッション業界のサステナビリティと効率化を実現することです。

物流業界は、近年ますます厳しい課題に直面しています。例えば、2024年4月から施行されるトラックドライバーの時間外労働規制や、2025年問題とも呼ばれる超高齢化社会の影響が懸念されています。これにより、労働力不足やコストの上昇、輸配送の長期化といった事態が懸念されており、ファッション業界もまた例外ではありません。

そこで、この研究会では参加企業同士で課題を共有し、物流の共通化へ向けた協力関係を築くことが重要だと考えています。特に、物流が他業界に比べて未成熟な状況にあるファッション業界が団結することで、より良い解決策が見えてくると期待されています。

現在の活動と成果

これまでの活動としては、店舗向けの共同配送、ECモール向けの共同配送、さらには海外からの調達を含む共同輸送といった様々な実験プログラム（PoC）が実施されました。特に注目すべきは、ECモール向けの共同配送です。このプロジェクトでは、各企業の物流拠点からの集荷と配送先の調整を通じて、効率的な輸送方法を模索しています。

具体的には、荷量が十分に確保できると、トラックの積載率が向上し、最終的には輸送コストの低下も期待できます。また、共通のニーズを持つ企業が集まることで、新たなルートやメニューの開発につながる可能性も広がります。こうした取り組みにより、物流の効率が向上するだけでなく、業界全体の収益性も改善されるのではないでしょうか。

今後の展望

今後の展望としては、参加企業の拡大が挙げられます。より多くの企業が参加することで、物流に関する情報や課題を広く共有し、業界全体にメリットを波及させることができると考えています。研究会の実施成果をもとに、他のブランドにも声を掛け、仲間を増やしていく方針です。

また、物流の共通インフラを構築することを視野に入れた議論も進めていく予定です。これにより、長期的にはファッション業界全体を支える強力な物流ネットワークを築くことが目指されています。