慢性特発性じんましんの実態調査結果から見える治療の現状と未来

じんましんの治療実態が浮き彫りに

サノフィ株式会社が実施した「慢性特発性じんましんの治療実態調査」の結果が発表され、この疾患に苦しむ患者の実態と症状管理の課題が明らかになりました。調査対象となったのは、症状コントロールが不十分な20代から50代の男女277名で、その結果は多くの示唆を含んでいます。

慢性特発性じんましんとは

慢性特発性じんましん（Chronic Spontaneous Urticaria）は、原因不明の強いかゆみを伴う赤い膨らみが6週間以上続く疾患です。じんましんは幅広く認知されていますが、約80%の症例はその原因が特定できない特発性であるとされています。症状が現れては消えるケースが多いため、軽視されがちですが、実際には10年以上症状と向き合っている患者も少なくありません。

調査結果の概要

調査によれば、約4割の患者が最初の症状から10年以上経過しており、4人に1人がほぼ毎日症状が出続けていることがわかりました。また、66.8%の患者が「まったく症状が出なくなり、治療薬も必要ない状態」を治療ゴールとして掲げていますが、91%の患者が新たな治療選択肢である「分子標的薬」の存在を知らないことも判明しました。これは、治療法選択における大きな障壁となっています。

患者の声と認識

調査結果からは、慢性特発性じんましんを「いつまで続くか分からない大変な病気」と認識している患者が多数を占めており、約95%が治療の完治を信じていない実態が明らかになりました。これに対し、93.1%の患者が治療法としての分子標的薬を知らず、治療の選択肢が求められている状況が浮き彫りです。

専門医のコメント

島根大学の千貫祐子准教授は、慢性特発性じんましんは治療に時間がかかる疾患であり、患者自身が治療に対して過度な期待を抱いていることが多いと指摘します。症状の慢性化により患者の「つらさ」が低く評価される傾向にあり、一方で「まあまあつらい」と感じつつも「このつらさは当たり前」と思うようになってしまう現実があるのです。千貫医師の見解にもとづき、努めて症状管理の重要性を理解し、適切な治療を受けることが重要であると言えます。

今後の取り組み

サノフィは、アレルギー疾患に特化した情報サイト「アレルギーi」を通じて、慢性特発性じんましんに関する最新の情報や治療法についての啓発活動を行っています。患者一人ひとりが最適な治療法を見つけ、より良い健康状態を目指せるようなサポートを続けていくことが求められています。治療の選択肢や最新情報の普及を進めることで、患者の未来がより明るいものになることを願います。

慢性特発性じんましんに対する理解と治療法の選択肢を広げ、より多くの患者が希望を持てるような社会を目指しています。