75年の伝統、真摯な挑戦
大阪発、業務用パンメーカーの株式会社オリエンタルベーカリーが新ブランド『NukumOri』を発表しました。このブランドは、宿泊業界の抱える課題に立ち向かうための新たな価値提供を目指しており、その魅力を深掘りしてみましょう。
宿泊業界が抱える課題
宿泊業界は現在、いくつかの大きな課題に直面しています。まず第一に、「ゲスト体験価値の向上」です。観光庁の調査によると、宿泊施設を選ぶ際の決め手として「朝食のおいしさ」が重要視されています。記憶に残る朝食体験は、顧客の満足度向上とリピート率の獲得に直結します。
次に、深刻な人手不足と調理コストの増大が挙げられます。2024年には業界の有効求人倍率が約4.2倍に達し、特に朝食提供を担当する早朝のスタッフ確保が難しくなっています。さらに、エネルギーや原材料の高騰により、調理コストは前年比で約12%も増加しています。
最後に、「朝食品質の維持とコストバランスの両立」の課題です。冷凍パンの品質劣化や保管スペースの悩みは、現場の多くが頭を悩ませている問題です。
NukumOriの誕生とコンセプト
これらの課題に立ち向かうため、オリエンタルベーカリーが立ち上げたのがNukumOriです。「温もりから生まれる、心ほどけるひととき。」をテーマに、特別な朝のひとときをより豊かにする商品とサービスを提供します。ブランド名には、心地よい空間を象徴する「温もり」と「nook(ヌック)」の2つの意味が込められています。
NukumOriの特長
NukumOriの最大の特長は、毎日焼きたてのパンを冷凍せず、常温で新鮮な状態で提供することです。このビジネスモデルにより、食材の品質を維持しつつ在庫管理コストの削減や食品ロスの軽減が可能になります。また、国産小麦や瀬戸内レモンなど、地域の良質な素材を使用することで、ゲストに特別感と安心感を提供します。
さらに、NukumOriは以下の3つのソリューションを提案しています。
1.
非日常と温もりを感じる商品ラインナップ - 国産素材を活かし、特別感あふれる商品を提供。ビュッフェ全体の演出にも力を入れています。
2.
常温・小ロット納品で品質と効率を両立 - 新鮮な状態で毎日焼成し、毎日納品することで、食感や香りを保持したまま提供します。
3.
冷凍庫不要でコスト削減 - 冷凍在庫管理が不要になり、準備時間の短縮にも貢献します。
未来の展望
NukumOriは単なる商品提供にとどまらず、宿泊業界の課題解決と持続可能な運営を目指しています。フードロス削減や地域農産物の活用はもちろんのこと、今後は地域の素材を生かした商品や季節限定アイテムの開発にも取り組む予定です。旅館やホテル全体の体験価値を高めつつ、持続可能な運営への貢献を視野に入れたブランドの誕生は、業界にとっても新しい希望を生むでしょう。