ロッテが進めるカカオ農業の新たな取り組み
株式会社ロッテは、ベトナムのカントー大学や日本ハイドロパウテック株式会社と協力して進める農業共同研究の新しいフェーズに突入しました。このプロジェクトは、2023年5月24日の第一次共同研究の結果を受け、2025年10月9日に開催された正式な調印式を経て、カカオ農地での実証実験に進むことが決定しました。
研究の背景と目的
カカオ豆は、そのままでは食用にはなりません。収穫されたカカオの実は、発酵と乾燥を経て、初めてチョコレートの原料として利用されるのです。しかし、カカオの実の約8割を占めるカカオポッドは、これまで活用されないまま廃棄されることが多く、その結果、環境にも負荷をかけていました。
カカオポッドが土に還るには時間がかかり、その過程で繁殖する菌がカカオの木に害を与える可能性があるため、農家にとっては深刻な収穫減少と収入の低下を引き起こしかねません。それゆえ、これを適切に処理し、地域産業として利用することが急務だとされています。
加水分解技術による新たな発見
第一次共同研究では、加水分解技術を活用し、カカオポッドを粉砕して土壌に散布することで農地の肥沃度向上に寄与するかを検証しました。このテストは、ベトナム南部のメコンデルタ地域で行われ、なんと加水分解されたカカオポッドの利用がカカオ苗の成長をより良くすることが示されました。
これは、カカオの品質や収量を向上させるための新しい道を切り開くことになるでしょう。大地を豊かにすることが、結果的に農家の収入向上にもつながる可能性があるのです。
次なるステップ:収量への影響を検証
今後の研究では、カカオ農地に加水分解カカオポッドを散布し、実際のカカオ豆の収量に与える影響を詳しく調査します。このプロジェクトが成功すれば、カカオ産地における環境問題の解決と、資源の循環利用を目指す新たなモデルとして注目されることでしょう。
カントー大学の役割
カントー大学は、ベトナム南部に位置する重要な教育機関で、農学部や水産学部、経済学部などを擁しています。1966年の設立以来、メコンデルタ地域の農業に関する教育と研究の中心的役割を果たしてきました。学生数は52,414人以上(2025年9月時点)で、地域における農業の発展に貢献しています。
つまり、ロッテのこの取り組みは、科学技術と地域の知識が融合して新たな農業の形を生み出す重要なステップとなっているのです。持続可能な農業が実現されれば、地元の農家や地域社会も豊かになることが期待されます。
まとめ
ロッテが進めるカカオに関する共同研究は、単なる経済的利益を超えた社会貢献活動でもあります。地元の環境保護だけでなく、持続可能な農業の実現を通じて、未来を見据えた新たな農業モデルを形成することが期待されています。私たちも、この取り組みから目が離せません。