視覚障がい者のための「ブラインドメイク」が拓く新たな美の可能性
一般社団法人日本ケアメイク協会は、視覚に障がいを持つ方々への美のアプローチとして、ユニバーサル・ビューティー・アドバイザー(UBA)養成講座を2025年9月に実施しました。この講座は、化粧品業界のプロたちが、視覚障害者の方々のニーズに応えるためのスキルを学び、また、お客様に安心して来店いただける環境作りを目的としています。
「ブラインドメイク」とは
「ブラインドメイク」とは、目の見えない方でも手触りや感覚を使い、鏡を使わずに自らの能力でメイクを楽しむための技術です。この手法は2010年に大石華法氏によって考案され、以来多くの方々に新たな自己表現の手段として受け入れられています。
今日、日本には約30万人の視覚障がい者がいるとされ、さらに160万人の方が生活の中で視力に困難を感じています。ここでの「ブラインドメイク」は、その方々にとっての新しい美の可能性を広げるものです。
UBA養成講座の課題と実施内容
UBA養成講座では、視覚障がい者への理解を深めるとともに、以下の目標を掲げて進められています。
- - 化粧品の安全な使用方法を伝授する。
- - 適切な化粧品の選択とその使い方を習得する。
- - メイクとスキンケアの基礎技術を教え、化粧の楽しさを体感させる。
- - 個々の肌質に最適な製品選びをサポートする。
- - 美容に関する最新の情報を提供し、自己肯定感を高める。
養成講座ではブラインドメイクのデモンストレーションが行われ、参加者は視覚的な障害を理解するための様々な実習を配慮されながら体験しました。特に、言葉による指示でのメイク実習は、視覚障がい者の方々にとって必要な配慮であり、参加者全員にとって貴重な経験となりました。
サイトワールド2025への出展
2025年10月、協会はサイトワールド2025にも出展しました。このイベントは視覚障がい者向けの総合イベントであり、ブラインドメイク体験ブースを設け、多くの来場者に体験していただきました。特に印象的だったのは、参加者が自分の顔に触れ、新しいスキンケア体験を通じて得られた笑顔でした。
イベント総来場者数は3000名を超え、その中で344名の方がブラインドメイクを体験しました。参加者からは、自分の身だしなみを整える楽しみを感じられたという声が多数寄せられ、視覚障がい者の美容に対する需要を再確認させられました。
今後の展望
日本ケアメイク協会は、このような活動をさらに推進し、視覚障がい者のためのブラインドメイクの普及を目指します。今後もさまざまな団体と連携しながら、セミナーやイベントを通じて「ブラインドメイク」の認知を広めていく所存です。
私たちの活動が視覚に障がいのある方々に自分の美しさを見出す手助けとなり、共に素晴らしい美の体験を分かち合える日を心待ちにしています。