勇気を持って語る、自分自身の物語
AAAのメンバーであり、ソロアーティストとしても活躍する與真司郎(あたえしんじろう)さんが、来る4月16日に自身のノンフィクションエッセイ『人生そんなもん』を出版します。本作では、幼少期からの苦悩を赤裸々に振り返りながら、彼のカミングアウト以降の心境にも迫った内容です。
幼少期の葛藤
與さんは、子ども時代から自分が周囲の子たちとは違うと感じていたそうです。「男の子に恋愛感情を抱くことはいけないこと」「男女の恋愛を描く作品に共感ができない」といった思いは、当時の彼にとって大きな悩みでした。特に、同級生の女の子からアプローチを受けた際には、「自分はちょっと変なのかもしれない」と思うことが多かったとのこと。
彼の周囲には、恋愛ドラマや恋愛ソングの話題が飛び交っていた中で、彼だけがその魅力を理解できず、孤独感を抱いた経験もあるそうです。父親のDVによって家庭環境が影響され、男性と女性に対するポジティブなイメージが乏しかったことも、彼の心の闇に重くのしかかっていたのかもしれません。
音楽との出会い
アーティストとしての活動が始まったのは14歳のころ。彼は恋愛に対する偏差値が低いままデビューし、恋愛ソングの歌詞の意味すら、最初の頃は理解していなかったと話します。与さんは、バラードの曲調では切ない顔をし、ポップな曲では笑顔を振りまくというスタンスで、演じることに徹していたとのこと。
しかし、この「仮面」をかぶることには、心のどこかで罪悪感があったと振り返っています。ファンを喜ばせるためには、演技をすることも苦痛ではなかったものの、心から感情を込めることができないもどかしさが、彼のアーティスト活動には常に付きまとっていました。
カミングアウトと変化
2023年7月、與さんは約2000人のファンの前で自身が同性愛者であることをカミングアウトし、その後の活動が大きな注目を浴びました。カミングアウトを経て、彼は以前とは全く異なる景色を見られるようになったと語ります。自分の本音を楽曲に反映できるようになり、音楽がより好きになったと心から感じるようになったのです。今では恋愛ソングを歌う際にも感極まることがあるのだとか。
今後の展望
與さんは、「自分を偽らずに歌えることが幸せ」と語り、今後は自身の人生をテーマにしたドキュメンタリーを制作する計画があるそうです。自身の半生を振り返り、カミングアウトまでの道のりと、その後の心境を詳細に記した『人生そんなもん』は、彼自身の経験を基にしたリアルなメッセージが詰まった一冊となっています。
書籍情報
- - タイトル: 『與真司郎フォトエッセイ人生そんなもん』
- - 発行: 講談社
- - 発売日: 2025年4月16日
- - 価格: 1,980円(税込)
- - 仕様: 四六判/160ページ
- - ISBN13: 978-4-06-538728-3
このエッセイを通じて、與真司郎さんの強さや優しさ、そして彼の音楽に対する真摯な姿勢を感じ取ってみてはいかがでしょうか。彼の物語は、多くの人に勇気を与え、理解を深めるきっかけとなることでしょう。