松本清張の魅力を女性の視点で分析した新刊『松本清張の女たち』
大ベストセラー『負け犬の遠吠え』を手がけた酒井順子さんが、社
会派ミステリーの巨匠・松本清張について、特に彼が描いた女性にスポットを当てた新著『松本清張の女たち』を6月26日に刊行します。この本では、松本清張がいかに女性を描き、どのように彼女たちの物語が形作られてきたのかに迫ります。
松本清張の女性観とは?
衰えぬ人気を誇る松本清張の秘密は、「女」にあると酒井順子さんは考えます。特に、女性誌で執筆された小説群に着目し、女性読者に向けて表現された女性主人公の多様性とその変遷を分析しています。清張は、女性も男性同様に欲望や悪意を持つ一人の人間として捉え、その先見性が令和の今でも読者を惹きつける理由だと本書で述べています。
ツーショットの女優・新珠三千代
書のカバー写真には、松本清張がファンであった女優・新珠三千代が登場。彼女は宝塚歌劇団から映画へと転身し、清張原作の映画にも出演した昭和を代表するトップ女優です。清張自身も、彼女のイメージが作品に影響を与えたと述べており、新珠三千代が彼の創作に与えたインスピレーションは計り知れません。
今年は記念の年
2023年は松本清張にとって多くの記念日が重なる年です。昭和100年、戦後80年、そして清張が女性誌でデビューしてから70年を経て、彼の作品に新たな視点を加えるこの本はまさに待望の一冊です。
酒井順子さんの思い
「清張の女たちは、市井の女性たちが内に抱える心の黒い部分を代弁し、物語を通じて洗い流してくれました」と酒井さんは語ります。清張の作品は、単にエンターテインメントであるだけでなく、女性の心に潜む複雑な感情にも寄り添っています。
現代から見る松本清張
本書は清張作品を現代の視点で再考し、新たな角度からその魅力を掘り下げます。「お嬢さん探偵」「黒と白のオールドミス」「母の不貞」など、印象的なキーワードを通じて、時代に応じて変わる女性たちの生き様を映し出しつつ、清張の深い洞察力に迫ります。
終わりに
松本清張の作品に描かれた多様な女性たちの物語を通じて、彼の文学の根底にあるものを読み解く『松本清張の女たち』は、現代女性にとっても興味深い内容となっています。酒井順子さんの視点をぜひ味わってみてください。この新刊は、松本清張の世界を今一度考察し、女性の生き方について改めて感じさせてくれるでしょう。