地域漁業の未来を創る『極寒ぶり』の挑戦
北海道白糠町で、新たな地域資源として注目を集めているのが『極寒ぶり®』です。地球温暖化の影響で豊漁となったブリを活用し、地元漁業者や自治体と共に高付加価値化を進めて4年目に突入しました。『極寒ぶり』は、その名の通り極寒の海で育まれたブリのブランドであり、味わい深いと評判です。今回は、このブランド化の過程と地元漁業への影響を考察してみましょう。
背景:海の変化による新たな資源
かつて北海道では、秋の定置網漁の主力は「秋鮭」でしたが、地球温暖化の影響でその漁獲量が減少する一方、ブリが豊漁となりました。しかし、ブリは北海道ではあまり食べられず、これまで価値が低い魚と見なされていたため、初めはその活用が難しい側面もありました。
しかし、極寒の環境で育ったブリは身が引き締まっており、脂も豊富です。そのため、ブリを新たな地域資源として価値付けし、地域経済を活性化させる試みが始まりました。
官民連携による取り組み
イミューは2022年から白糠町及び白糠漁業協同組合と協力し、『極寒ぶり®』のブランド化に取り組んできました。具体的には、ふるさと納税の返礼品としてブリを初めて出品したり、町内に水産加工工場を建設したりして、新たな商品ラインを展開しています。2024年には鮮度保持のための水槽施設も整備予定です。
これにより、全国の消費者が『極寒ぶり』を味わい、その良さを実感してもらえるようになっています。このような取り組みは、地元漁師たちの自信にもつながり、地域全体を支える循環を生む一助となっています。
新商品の魅力
2023年9月4日には、今季初の秋の定置網漁で水揚げされた『極寒ぶり』を使った加工品の製造が始まります。注目の商品には、ブリしゃぶや漬け丼の素があり、これはふるさと納税の返礼品としても受付が始まります。これにより、『極寒ぶり®』の魅力をより多くの人々に届けることが可能となります。
また、ブリの中でも7kg未満の個体にあたるハマチは、かつては活用されることが少なかったのですが、新たに漬け丼の素として商品化されることが決定しました。これも、漁業の持続可能性を考えた取り組みの一環です。
未来を見据えたビジョン
『極寒ぶり®』の成功により、株式会社イミューは、漁業の未来を確立する新たなモデルの構築を目指しています。代表の黒田康平氏は、「変わりゆく海と向き合う漁業の未来を象徴している」と語り、地域と消費者をつなぐ橋渡しができることを願っています。
株式会社イミューは、地域資源のブランド化を通じて産業の創出を行い、2025年に向けて新たな取り組みを展開する予定です。地域社会の課題に寄り添いながら、持続可能な漁業と新しいビジネスモデルに向けた挑戦が白糠町で進んでいます。