行政手続きはオンライン化が進む中、世代で分かれる窓口利用の現状とは
近年、多くの自治体で行政手続きのオンライン化が進められています。この背景には、住民の利便性向上と業務の効率化を図るという目的があります。しかし、実際の調査では、「オンライン手続き」を選ぶ人と「対面窓口」を選ぶ人がほぼ同じ割合で、世代間での選好に明確な違いが見られました。この記事では、紀尾井町戦略研究所(KSI)による調査結果を基に、各世代の行政手続き利用の傾向を探ります。
調査の背景と目的
KSIは、新産業に挑む企業に対する政策活動やリスクマネジメントのサポートを行う専門機関です。同社が行った調査では、全国の18歳以上の1,000人を対象に、役所手続きに関する世代ごとの違いやオンライン化の利便性について分析しました。
オンライン派と対面窓口派の割合
調査によると、市区町村の役所での手続き方法について、「オンライン」が39.7%、「対面窓口」が37.4%、さらに「コンビニ」11.1%、「郵送」6.5%となりました。この結果からもわかる通り、オンライン手続きは特に20代での支持率が高く、60代以上では対面窓口を選ぶ割合が増加しました。特に70代以上では、対面窓口利用が約6割にも達しています。
この世代間の差は、ただの好みの問題ではなく、テクノロジーへの適応度や生涯教育との関わりも影響していると考えられます。若い世代はデジタルネイティブとも言えるため、オンラインでの利用に抵抗が少ない一方で、高齢者は対面でのサポートが安心感をもたらすのかもしれません。
行政情報の入手方法
また、行政の情報を知りたいときについても調査が行われ、「対面窓口」を選ぶ人は46.8%、「電話」での確認が43.0%、ウェブサイトを利用する人が31.4%という結果が出ました。このデータは、世代間での情報収集方法の違いを如実に示しており、やはり高齢者層は対面や電話での確認を好む傾向がありました。
不便を感じている人々
一方で、職員の働き方改革の一環として一部の地方自治体が開庁時間の短縮を行っていることに関して、「仕方ないと思う」と答えた人は51.0%と、半数以上の人が理解を示したものの、「不便だと思う」と回答した人も29.8%に上り、やはり中には困惑を感じる人も多かったです。
問題点とその解決策
調査には、行政サービスの利用において不明点が解消されなかった経験を持つ人の割合も含まれており、「手続きや必要書類が複雑」という意見が18.5%に上りました。この複雑さが、高齢者層がオンラインサービスの利用をためらう一因となっていることを示唆しています。
最後に
行政手続きのデジタル化は進む一方で、依然として対面でのサービスを好む層も多い現実があります。世代に応じたサービス提供が求められる中、今後の行政はどのように住民のニーズに対応していくのか、その動向が注目されます。デジタルとアナログ、それぞれの利点を活かした形で、全ての世代が快適に利用できる行政サービスの実現が期待されています。