環境再生型農業を支援するキリンの新たな取り組み
キリンホールディングス株式会社とキリンビバレッジ株式会社が、環境再生型農業を推進するために新たなツール「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」をレインフォレスト・アライアンスと共同で開発し、2024年12月から運用を開始します。この取り組みは、紅茶の生産において重要な役割を担っているスリランカの農園に焦点を当てています。
1. 概要と背景
近年、地球環境の悪化が深刻な課題となっています。その中で、農業の持続可能性を高めるアプローチとして注目されているのが、環境再生型農業です。この農法は、地球環境を保護し、再生することを目的とした農業の実践方法です。キリンは、その実践を後押しするために、スコアカードを導入。これにより、農園での自然の保全と生態系の回復を促進する道筋を示します。
2. スコアカードの役割
「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」は、紅茶農園で働く人々に対して、自主的に活用できる簡便なツールとして機能します。このスコアカードを利用することで、農園は現在の農業の実践状況を評価し、改善が必要な領域を特定できます。それによって、環境再生型農業へのスムーズな移行が可能になります。また、このツールは、土壌の健全性や生物多様性の保全を強化し、地域社会の生活向上にも寄与することが期待されています。
3. キリンの取り組み
キリンは、すでにスリランカの茶葉生産地とのパートナーシップを深化させており、2013年から「レインフォレスト・アライアンス認証」の取得支援を行っています。「キリン 午後の紅茶」には、スリランカ産の紅茶葉が使用されており、その約2割が同国から輸入されています。今後はスコアカードを導入することで、更なる品質向上と生産者支援を目指します。
2023年末時点で、スリランカの大農園の約3割が認証を取得しており、手応えを感じています。2021年には、スリランカ産茶葉を100%使用し、さらに90%以上が「レインフォレスト・アライアンス認証茶葉」という高い基準を満たした製品をリリースしています。
4. 地域の課題への取り組み
スリランカの紅茶農園では、気候変動による干ばつや大雨、都市化に伴う土地利用の変化といったさまざまな課題に直面しています。このため、キリングループは自然資本に関する情報開示を進め、スリランカの農園を含む現状の分析を行い、環境再生型農業が課題解決に効果的であることを示しています。特に、小農園の持続可能性向上に向けてきめ細やかな支援が求められている現実があります。
5. 持続可能な未来へのビジョン
キリングループは、複雑に絡み合った環境課題への包括的な対策を継続して推進します。生物資源、水資源、気候変動など様々な問題に統合的に取り組むことで、未来の地球環境を守り、豊かな自然の恵みを次世代に引き継ぐ努力をしています。この新たな試みが、持続可能な社会の実現に対してポジティブな影響を与えることを願っています。
今後もキリンは、豊かな地球環境の保全に向けて、多くのステークホルダーと連携していく姿勢を維持し、サステナビリティのリーダーとしての役割を果たしていくでしょう。