マンダムの革新的な防腐技術
株式会社マンダムは、大阪に本社を構える企業で、「人間系」企業としての理念を掲げ、心地よい生活を提供することを目指しています。安全性や機能性、快適性を追求した研究開発に力を入れており、特に肌にやさしい成分へのこだわりが光ります。
アルカンジオールと防腐剤フリー処方
2005年には、「アルカンジオール」という保湿成分の抗菌性に注目し、従来の防腐剤を使わない「防腐剤フリー処方」を確立しました。アルカンジオールは、ペンチレングリコールやヘキサンジオールなど、さまざまな保湿剤の総称で、多価アルコールの一種です。ただし、これまでは真菌に対する抗菌効果が不十分でした。
新たな研究開発の進展
マンダムはこの課題を解決すべく、アルカンジオールの一種であるデシレングリコール(C10)と1,2-ヘプタンジオール(C7)を併用することで真菌に高い抗菌効果をもたらす技術を開発しました。この研究は、2025年6月にフィリピンで開催される国際大会で7位を受賞する成果を上げるなど、業界の注目を集めています。
研究内容の詳細
デシレングリコール(C10)は抗真菌作用を有するとされていますが、水を多く含む製品への配合が課題でした。そこで、C10の水中での分散性を高めるためにC7の併用を考えました。この2つの成分が真菌に対してどのような相乗効果を生むのかを確認するため、実験によりその効果を測定しました。
1. 真菌に対する抗菌効果の確認
化粧水のモデル処方を用い、C7またはC10を単独で使った場合と併用した場合で保存効力試験を行いました。結果、C10とC7を併用した場合のみ、真菌数が大幅に減少し、従来の防腐剤との比較でも短時間で効果が得られることが分かりました。これにより、C10が単独で使う時よりも高い効果を見せることが確認されました。
2. 抗菌メカニズムの解明
Candida albicansを用いた実験では、C7とC10の併用によって細胞膜が損傷し、代謝活動が抑制されることが明らかになりました。このことから、両成分が協力して真菌の死亡に繋がることが考えられます。
今後の展望
この研究により、C10とC7の組み合わせが真菌に対して非常に高い抗菌効果を示すことが分かりました。これにより、マンダムは低刺激で肌に優しい製品の開発に寄与する技術を手に入れました。化粧水だけでなく、ジェルやシートマスクなど様々な製品に応用できる可能性も確認されています。
結論
マンダムのこの革新的な防腐技術は、敏感肌の方にも安心して使える製品の実現に向けて、大きな一歩を踏み出しました。今後も、さらなる研究を進め、快適性や安全性に配慮した製品開発を続けていくことで、生活者のニーズに応える取り組みを行っていきます。業界全体の技術革新にも寄与し、美容製品の未来を切り開いていくマンダムに、これからも注目が集まりそうです。