美容の帝国からのメッセージ。エリース・ヒューの新著を徹底分析
エリース・ヒューの新著『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』が、2月17日に新潮社から発売される。この本は、美容業界の最前線に身を置くアメリカの女性記者が、韓国の美容文化を探求し、自身の体験を通じて「美」について深く考察する内容となっている。読み手にとって、ただの美容本以上の価値を与えてくれるのだ。
著者のヒューは、赴任先の韓国で「毛穴の存在しない未来」に直面し、さまざまな美容法や製品に挑戦していく。彼女が語る美容沼には、ただ美しさを追求するだけでなく、そこに潜むさまざまな社会的要因や文化的背景も絡んでいることを理解することができる。
現代社会における「美」の価値
著書には、彼女にインスピレーションを与えた数多くの人物からの証言が盛り込まれており、ジェーン・スーや松田青子、宇垣美里ら多様な視点が寄せられている。ジェーン・スーは「美」は権力であり、経済と密接に結びついていると指摘。松田青子は、ルッキズムの構造を意識することで「美容」の楽しさに気づくと語っている。そして、宇垣美里は美しさの追求が福音であり呪いでもあると問いかける。
このように、彼女たちのコメントからも伺えるように、美容は単なる外見の問題ではなく、社会や文化、経済などさまざまな要素が絡み合ったテーマであることが浮き彫りになる。
美の帝国——韓国の美容文化
ヒューは、韓国の美容院、医療機関、さらにはコスメブランドの創業者などと対話を重ね、その中で見えてくる美容トレンドや市場の盛況ぶりを報告している。彼女の主張する「美の帝国」は、ただ美を求める人々の集まりではなく、そこには深い人間関係や社会的影響が存在することを示す。《顎を削り、理想の形を手に入れるプロセス》はまさにその象徴であり、個人がどれほど美容に心を奪われているのかを示している。
特に、ヒュー自身が受けた「顔面注射274回」の体験談は、彼女がどれだけ美容にのめり込んでいるかを物語っている。また、マネジメント会社の「46キロ」ルールという基準が女性に与える圧力も考察されており、現代社会において美しさがどれほど重視されているのかが改めて論じられる。
最後に
ヒューの新著は、ただの美容法を超え、自身を「改善」しようとする人々の内面的な葛藤を描き出している。この本を通じて、美容というテーマが持つ多面的な側面を知り、読者自身がその意味について考えるきっかけを提供してくれることでしょう。美容というプロセスが、どれだけ自分自身を見つめ直すための大切な時間であるかを感じ取ることができるはずです。
新たな視点をもたらす『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』は、美しさを追求する女性たちにとって、必読の一冊となるでしょう。