富士フイルムが開発した三次元皮膚モデル、その影響と可能性とは
富士フイルム株式会社が新たに開発した三次元皮膚モデルは、皮膚内部の構造が肌表面のキメ様構造形成に与える影響を実証しました。この革新的な研究成果は2026年に開催予定の「第51回日本香粧品学会学術大会」で発表されます。ここでは、開発の背景と実績を詳しく紹介します。
開発の背景
富士フイルムはこれまで、皮膚内部の構造を非侵襲的に観察する技術を駆使し、特に加齢に伴う肌の変化を研究してきました。以前の研究により、皮膚の内部構造と表面のキメに共通した特徴があることが分かりました。しかし、基底膜の凹凸構造と肌のキメとの関係性は未解明でした。
そこで、基底膜の凹凸を人工的に再現した新しいモデルを開発。これにより、皮膚内部と表面構造がどのように相互作用しているのかを明らかにしようとしています。
新しい三次元皮膚モデル
今回開発したモデルでは、実際の人間の皮膚に近い基底膜の凹凸構造を再現。これを基にして、三次元的な表皮細胞の構築が行われました。具体的には、3Dプリント技術で作成した凹凸形状の金型を用い、多孔性基材に転写し、細胞を播種するという方法です。これにより、元のヒトの皮膚のような詳細な層構造が形成されました。
特徴的な機能の確認
開発した皮膚モデルは、従来のモデルに比べてバリア機能が高いことが確認されました。具体的には、経皮電気抵抗値(TEER)の測定から、モデルがより強力なバリア機能を持つことが示されました。また、角層厚さ、表皮厚さも増加しており、これがバリア機能の強化に寄与していると考えられます。
新たなメカニズムの発見
研究の結果、内部構造の凹凸により、皮膚表面のキメ様構造が形成されることが分かりました。実際、LC-OCTと呼ばれる高解像度の観察技術を用いて、皮膚モデルの表面を観察したところ、凹部に皮溝、凸部に皮丘が明確に確認され、基底膜の構造が肌表面に影響を与えていることが明らかになりました。
今後の展開
この研究成果は、成分や処方が皮膚の内部構造や表面形態に及ぼす影響を解明するための新たな道筋を示しています。また、皮膚の美観と内部構造を同時に評価できる技術として、基礎研究から製品開発まで様々な分野での活用が期待されます。
富士フイルムは、今後も皮膚科学の研究を深め、新たな価値の創造に貢献することを目指します。私たちの肌の健康や美しさを支える技術として大いに期待されるでしょう。今後の研究動向にも注目です。