笑顔を生む刺し子の力
日本の伝統文化である刺し子が、現代のテクノロジーと融合し、新たな表現へと進化を遂げています。2025年12月5日、栃木県宇都宮市に本社を置く株式会社TOMOS companyが、Dentsu Lab Tokyoとの共同プロジェクトとして、刺し子と音と光を組み合わせた体験型インスタレーションを発表しました。この試みは、福祉事業を背景にしたブランド「TERAS」の一環として、特に注目されます。
プロジェクトの背景
TOMOSは、就労支援事業所を通じて、福祉の枠を超えたクリエイティブな製品をユーザーに提供することを目指しています。「福祉からブランドをつくる」という理念のもと、SASHIKO(刺し子)やBORO(襤褸)を取り入れた商品開発をしています。今回のプロジェクトは、これまでの伝統技法を活かしながら、最新のテクノロジーと融合させることで、新たな価値を創造する挑戦です。
プロジェクトの詳細
「UP-CYCLING POSSIBILITY」シリーズの第二弾として位置付けられるこのプロジェクトでは、捨てられた物や壊れた物に新しい命を吹き込むことを目指しています。Dentsu Lab Tokyoが企画・デザインを担当し、techika社が技術実装を担当、さらに丸仁社が反射材素材を提供。各社が協力し合うことで、独自の作品が生み出されました。
このプロジェクトでは、布に導電糸を織り込むことにより、触れることで音や光を操るインターフェースが実現されました。具体的には、以下の3つの作品が展示されます:
1.
SA→SHI LAMP LIGHT (KAKI_YABANE)
- 襤褸を用いたランプシェードで、導電糸の配置によって触れた箇所で明るさを調整できる。
2.
SA→SHI COAT SOUND (ASANOHA)
- 半纏のデザインに導電糸を施し、体の動きによって音を発する機能を持つ。
3.
SA→SHI BAG REFLECTION (SEIGAIHA)
- 光を反射する糸で刺し子を施したトートバッグで、夜でも安全に持ち運ぶことができるスタイリッシュなデザイン。
TOMOSの新たなアプローチ
TOMOSは、現代社会における物の取り扱いについて新たな視点を提供します。捨てられたものや未使用のものにどう向き合うか、そしてその物に新しい価値を与えることの重要性を提案しています。「今、あるものを新しくする」という意識を広めることで、持続可能な社会に向けた一歩を歩み出そうとしています。
TOMOSは、今後もさまざまなコラボレーターとの連携を通じて、アップサイクルと福祉を基盤とするクリエイティブな試みに挑戦し続けることでしょう。
イベントについて
本プロジェクトの成果は、2025年12月5日に電通ホールで開催される「Dentsu Lab Tokyo OPEN LAB 2025」で展示予定です。この一大イベントでは、テクノロジーとクリエイティビティが如何に結びついているかを示す新しい体験が可能となります。
まとめ
TOMOSの刺し子による新しいアートプロジェクトは、福祉とクリエイティブが交わる場所に新たな風を吹き込んでいます。これからも、より多くの人々に喜ばれる作品が生まれることを期待しています。