シンガポールの歌姫、レジーナ・ソングの新EP『the gates』
近年、Z世代の新たなアイコンとして注目を集めているシンガポール出身のポップアーティスト、レジーナ・ソング(Regina Song)が、新作EP『the gates』をリリースしました。この作品は、彼女の音楽の次なる章へと進む前の、哀しみに抱擁する最後の一歩ともいえるものです。
EP内容と新曲「Midsummer Mansion」
『the gates』には、2025年に発表されたシングル「Fairy」「Love me again」「Before I leave」に加え、注目の新曲「Midsummer Mansion」が収録されています。この新曲は、遠距離恋愛をする恋人たちの夢や希望が閉じ込められた架空の館を舞台にしたストーリーが展開され、強い絆で結ばれているが故に描かれる苦しい現実を映し出しています。
歌詞の一部には、「I’ll see you next vacation if we even make it / till then I’ll be saying I miss you(次の休暇にまた会えたらいいね―もしまだ続いていたら。その日まで、私はずっと“会いたい”と言い続ける。)」というフレーズがあり、儚いけれども強く結ばれた愛情を静かに表現しています。このように、「Midsummer Mansion」は、愛の苦しみや希望を巧みに描写した美しい作品です。
愛のパラドックスと内なる葛藤
本EP『the gates』は、レジーナが抱える“愛”という甘美かつ苦いパラドックスに向き合った作品でもあります。彼女はかつて、夢中になって恋愛を追い求めるファンガールとして、心から愛を信じていました。しかし、時間の経過とともに、その頃の自分を思い出すことが次第に難しくなってしまったのです。
周囲からは明るい存在として愛され続けるために努力し、一見幸せそうに見せかけていましたが、彼女自身はその姿から遠ざかっているように感じていました。このような葛藤が、『the gates』には深く根ざしており、レジーナが抱える苦しみが歌詞の中に色濃く表れています。
再び目覚める愛の心
それでも彼女は知っています。あの頃の自分、愛を信じる純真な心は、今もなお心の奥深くで静かに息づいているということを。そして、再びその心が目を覚ます瞬間を待ち続けていることを。レジーナの作品は、そうした内なる葛藤や彼女自身の成長を反映しており、多くのリスナーの共感を呼んでいます。
アーティストとしての成長と今後
レジーナ・ソングは、2024年にデビューアルバム『fangirl』をリリースし、その後も瞬く間にアジアを代表する新進気鋭のミュージシャンとして注目を浴びています。代表曲「the cutest pair」は、Spotifyで5,300万回以上の再生を誇り、TikTokでも多くの動画で使用されています。2025年には初の東南アジアツアーを成功させ、音楽祭にも多数出演しています。
彼女の音楽は、特に若い世代に愛され、共感を呼ぶものです。新EP『the gates』を聴くことで、レジーナ・ソングの成長と彼女が描く恋愛の真実に触れてみてはいかがでしょうか。今後のセカンドアルバムのリリースも期待される彼女の音楽には、さらなる可能性が秘められていることでしょう。