第12回JASRAC音楽文化賞受賞者の紹介
日本音楽著作権協会(JASRAC)が11月18日に発表した、第12回JASRAC音楽文化賞の受賞者にじっくり目を向けてみましょう。この賞は、数値では表現しきれないような地道な活動を続けている個人や団体に光をあて、音楽文化の発展へとつなげることを目的としています。受賞者には、表彰盾とともに50万円の副賞が贈られます。今回は、受賞者の活動内容や意義深い実績について深掘りしていきます。
ぐらもくらぶ
顕彰理由
「ぐらもくらぶ」は、貴重な音源を復刻するレコードレーベルです。特に、SPレコードでしか聞けない昭和初期の秘曲や、日本のポピュラー音楽の源流を探求し、多くの音源をCDとして世に送り出しています。この活動は、日本音楽文化の豊かさを示すだけでなく、歴史的貴重な資料を発掘することにもつながっています。たくさんの音楽ファンにとって、彼らの作品は新たな発見となるでしょう。
略歴・実績
ぐらもくらぶは、アーカイブ・プロデューサーである保利透氏が主宰しており、様々な機関や協力者とともに活動を続けています。2010年に活動を開始し、2012年には独自のレーベルとして数々のSP音源を復刻。これまでで約50作品をリリースし、特に注目されているのは、現代の演奏家による戦前の録音技術を再現する『大土蔵録音』です。その活動は幅広く、書籍の発行や実物展も行い、音楽文化の重要性を世に訴え続けています。
一般社団法人HOPEプロジェクト
顕彰理由
HOPEプロジェクトは、広島と長崎で被爆し、歴史的価値を持つ「被爆ピアノ」を修復、保存し、演奏活動を行っています。戦争の悲惨さや平和の尊さを伝える重要な役割を果たしており、周囲の人々に意識を呼び起こす取り組みで、多くの演奏機会を通じて、次世代への平和のメッセージをつないでいます。
略歴・実績
このプロジェクトは、河本明子さんの「被爆ピアノ」に魅了された二口とみゑ氏の活動から始まりました。2005年から、広島市内で被爆ピアノを使用したコンサートを行っており、その成果は地元だけでなく、全国的な認知を得ています。まさに歴史と音楽の融合による意義深い活動と言えるでしょう。
株式会社矢川ピアノ工房
顕彰理由
矢川ピアノ工房は、被爆ピアノを中心に、音楽を通じた平和へのメッセージを伝えるために専念しています。演奏会の開催や、被爆ピアノの修復を通して、音楽と戦争の悲劇の記憶をつなげ、次世代へと伝える活動を行っています。
略歴・実績
1995年の設立以来、古いピアノの再生とともに、その被爆ピアノの利用や演奏を促進してきました。彼らの取り組みは、全国各地で数千回にわたる演奏会の開催に至り、多くの人々に影響を与え続けています。さらに、2021年には被爆ピアノ資料館を開設し、教育の場としてその価値を伝えています。
北海道農民管弦楽団
顕彰理由
農業に携わる音楽愛好者が集まり結成されたこのオーケストラは、「鍬で大地を耕し、音楽で心を耕す」というモットーのもと、地域の音楽文化を育む活動をしています。彼らの演奏は、地域に根付いた芸術の価値を提示し、多くの人々に共鳴しています。
略歴・実績
1994年に設立されて以来、毎年演奏会を開き、地域文化の振興に貢献しています。また、国際的な舞台にも立ち、音楽を通じた地域の絆を深め、風土を大切にする活動を展開しています。
ここまで見てきましたが、第12回JASRAC音楽文化賞の受賞者たちがそれぞれ異なる形で音楽文化の発展に寄与していることがわかります。音楽の力が持つコミュニケーションの可能性を広げ、未来へとつなげる彼らの活動は、私たちにとっても大いに刺激となるでしょう。これからも彼らの活動に注目し、音楽文化を支える一人として応援していきたいものです。