国鉄清算事業団の債務処理最新報告、健全化が進展

国鉄清算事業団の債務処理最新報告

令和7年2月7日、国土交通省は「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」に基づく債務処理の実施状況を国会に報告しました。この報告内容では、特に国鉄長期債務の処理状況や独立行政法人による特例業務に関する重要な情報が盛り込まれています。

1. 国における承継債務の処理状況

国鉄の長期債務の残高は、平成10年度末には24兆98億円に達していました。しかし、令和5年度末には15兆715億円まで減少したことが報告されています。このデータからわかるように、債務の健全化が進展していることが明らかです。具体的には、以下のような推移が見られました。

- 【令和4年度末】 15兆2,561億円
- 【令和5年度末】 15兆715億円
- 【対前年度増減】 -1,846億円

この債務残高の減少は、国の積極的な施策と適切な管理によるものです。国土交通省は毎年、債務処理の状況を省内で評価・検討し、必要な対策を講じています。

2. 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務

令和5年度には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構によって行われた特例業務の状況も報告されています。この年度における年金等の負担金の支払いは473億円であり、更に、法に基づいて北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社に対する支援として324億円の支払いが実施されました。

これは、国鉄改革で生じた債務を軽減させるための重要な施策の一環であり、旅客鉄道の安定を図ることを目的としています。

国鉄長期債務の背景

国鉄改革は昭和62年4月に行われ、国鉄の長期債務の総額は約37.1兆円に上りました。そのうち約25.5兆円が国鉄清算事業団に承継されました。国鉄清算事業団では、土地や株式の資産処分収入が期待通りに確保できなかったため、債務は約28兆円まで膨れ上がりました。この課題を解決するために、新たな処理スキームが導入され、国における総額の債務処理が進められています。具体的には、国は一般会計から約24兆円を、そして日本鉄道建設公団は約4兆円の債務を処理することが決定されました。

国土交通省は、これらの施策によって国鉄長期債務の削減を進めることができていると強調しています。今後の債務処理の進展に期待したいところです。