海藻が日本の食卓から徐々に姿を消している中、宮城県南三陸町に位置する海藻専門店SEASON(株式会社阿部伊組)が新たな動きを始めました。同店は、2026年8月より国内初の陸上での「マツモ」と「タオヤギソウ」の養殖をスタートさせ、このプロジェクトを広めるためのクラウドファンディングを9月15日に開始します。
この取り組みの背景には、日本人の海藻消費量が平成初期と比べて半減しているという厳しい現実があります。海面養殖における生産者数も減少しており、長期的な縮小傾向にある市場の中で、作り手の数も減ってきています。海藻の未来を守り、交流を深める仲間を増やすことが、SEASONが目指すビジョンの一つです。
南三陸町は自然に恵まれ、海と山が近接している地域であり、ここで海藻が育つ文化が根付いています。特に、南三陸は国内で生産されるワカメの約70%を担う地域でもあり、多様な海藻が食文化として存在しています。SEASONでは、海洋環境の変化やその他の影響を考慮し、企業や大学と連携して陸上養殖の試みを進めています。これは、海藻を「海」だけでなく「陸」で育てるという新しいアプローチです。
具体的には、伊里前湾の水を使って半閉鎖循環式の養殖システムを採用しています。これにより、排水量を減らしながら水質を一定に保つことができ、環境にも配慮した持続可能な方法で海藻を育てることが可能になります。こうした取り組みにより、「マツモ」と「タオヤギソウ」を育て、ぜひ実際に食べてもらうことで新しい海藻の楽しみをご提案したいと考えています。
クラウドファンディングのリターンには、マツモ・タオヤギソウの初回生産分を含む「お試しセット」や、手軽に楽しめるスープキットなどが用意されています。また、陸上養殖の見学体験もあり、実際の生育過程を体験することができます。
歴史的に高級食材とされてきた「マツモ」は、乾燥1kgあたり30,000円の価値を持つこともありますが、生産量は徐々に減少しています。タオヤギソウは全国各地に自生しますが、養殖されるケースは少なく、研究も進行中です。SEASONでは、これらの海藻を地域の新しい食材として育て上げることを目指し、地域の海藻文化を再生させようとしています。
SEASONが欲しいのは単なる支援者ではなく、海藻を楽しむ仲間です。私たちの海藻に対する理解を深め、料理に活用することで、新たな食文化を共に育てていくことが理想です。具体的には、「こんな食べ方が美味しそう」あらゆる声を通じて、海藻に新たな価値を見出していただきたいと思っています。
最終的には、「海藻を食べに行こう」という場所を実現させたいと考えています。それは、海藻を育てるだけでなく、実際に食べてそれを楽しむ体験を提供することです。すでにカフェや養殖施設を持ち、来年には民泊事業もスタートする予定です。
クラウドファンディングを通じてのご支援は、海藻を育てるだけでなく、食べる文化を広めるために使われます。新しいレシピの開発や、情報発信、経験づくりなど、多角的に海藻の魅力を広めていくことに役立ててまいります。私たちの想いに共感していただける仲間が増えることで、海藻文化を次世代につなげていけることを願っています。