米卸の現状と危機
2025-06-11 17:06:31

米麦卸売業の現状と小規模企業の危機、サポートが求められる時代

米麦卸売業の現状と小規模企業の危機、サポートが求められる時代



日本の食文化に深く根ざした米。私たちの日常生活に欠かせない存在ですが、その米を支える卸売業の現状は決して楽観視できるものではありません。最近の調査により、米の卸を行う業者の数は全国で1,822社に上ることがわかりましたが、その過半数は小規模企業であり、その中で売上1億円未満の企業が555社も存在しています。この事実は、業界全体の経済的基盤が揺らいでいることを示しています。

米価格の高騰と流通構造の複雑さ



現在、日本では米の価格が急騰し、「令和の米騒動」とも呼ばれる状況が続いています。消費者の日常生活や、外食・中食産業にも影響が及び、深刻な問題となっています。主な要因は、減反政策や自然災害、農家の高齢化といった様々な要素が複合的に絡み合い、供給不足を引き起こしているからです。

政府は備蓄米を市場に放出することで状況を安定させようとしていますが、卸売業者から小売店へ米が供給されるまでには多くの業者が介在するため、流通構造の複雑さが価格高騰の一因となっています。

卸売業者の役割と現状



米卸業者は、生産者から玄米を仕入れ、精米・加工を行い、需要に応じた商品を市場に供給しています。そのプロセスには、在庫の管理や効率的な配送が含まれます。最近の調査結果によると、米麦卸売業の企業の大半は小規模で、従業員数も少ないため、経営が脆弱であると言わざるを得ません。

特に、業者の68.5%が「5億円未満」の売上であり、最も多い「1~5億円未満」の693社は全体の38.0%を占めます。これに加えて、兵庫県や東京都、北海道などの収穫量が多い地域に多くの業者が拠点を置き、地域経済とも密接に繋がっています。

小売兼業の重要性



調査によれば、全業者の76.2%が米麦卸に加え、他の事業として小売兼業を行っています。特に「米穀類小売業」を営む478社が存在しており、流通の自由化が進む中で競争は激化しています。こうした状況では、効率化や高付加価値化が生き残りには必須です。

実際、売上が100億円を超える企業では、米卸が50%、小麦粉卸が30%、砂糖卸が15%という多角的な事業ポートフォリオを形成しており、流通の効率化が図られています。

高齢化と後継者不足



米卸業界も他の産業と同様に高齢化が進んでおり、平均年齢は63.6歳に達しています。60代以上の経営者が全体の64.4%を占めているため、今後の後継者不足が大きな問題として浮かび上がります。このままでは、事業の継続が難しくなるケースが増えることが懸念されています。

特に小さな卸売店では、米を手に入れることが難しく、既存の得意先からのオーダーを断らざるを得ない状況もあるといいます。大手・中堅向けの流通優先が理にかなっている面もありますが、地域を支える小規模企業へのサポートが欠かせません。

まとめ



今後の米業界では、生産、卸、小売それぞれの企業が協力し、行政とも連携して安心して生産できる環境を整えることが不可欠です。備蓄米の放出や新米、輸入米を通じて価格と供給の安定を図ることが求められています。特に小規模企業が直面する資金繰りや売上喪失のリスクに対し、業界全体での支援の仕組みが必要です。持続可能な米業界の発展には、各関係者の努力と戦略的な支援の両面が求められるのです。


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