新たな植物由来SAFの生成成功に見る未来の航空燃料の姿
航空業界における環境への配慮が高まる昨今、持続可能な航空燃料(SAF)のニーズが急速に増しています。この中で、日本での新たな取り組みとして、食用に適さない亜熱帯植物からのSAF生成が成功し、注目を集めています。ここでは、その詳細についてご紹介します。
1. SAFの背景と重要性
SAFとは、持続可能な航空燃料の略で、廃棄物や再生可能な素材を原料にしたジェット燃料のことを指します。日本では2030年にジェット燃料使用量の10%をSAFに置き換える目標が設定されており、特に廃食用油を活用したSAFの生産が期待されています。しかし、廃食用油の供給量に限りがあることから、新たな原料の開拓が急務とされています。
2. 新たな資源としてのテリハボクとポンガミア
株式会社J-オイルミルズは、沖縄県に自生するテリハボクとポンガミアの種子からSAFを生成しました。これらの植物は食用には適しておらず、農地との競合が少ないため、SAFの原料としての利用が期待されています。テリハボクは油分が40%〜50%、ポンガミアは30%〜40%含有しており、乾燥地や高塩分土壌のような厳しい環境でも栽培が可能です。
3. 生成プロセスと成果
J-オイルミルズは、沖縄県の街路樹から落下したテリハボクとポンガミアの種子を使用し、独自の搾油と精製の技術を駆使しました。そして、外部の環境エネルギー株式会社に依頼した水素化、異性化、蒸留プロセスを経て、100%バイオマス由来のSAF(ニートSAF)の生成に成功しました。このニートSAFは国際品質規格である「ASTM D7566 Annex A2」に適合しており、高い品質が確認されています。
4. 環境への貢献と今後の展望
今回の成果により、食用油の供給が限られる中で新たなSAFの原料供給が期待されます。また、環境への影響を考慮したSAF化技術のさらなる発展も進められています。今後は、燃料としての品質だけでなく、国際的な環境基準であるCORSIAへの適合を目指し、石油精製業者と連携した取り組みを進めていく予定です。また、2025年には東京ビッグサイトで開催される再生可能エネルギー展示会でもこのプロジェクトの概要が紹介される予定です。
5. 結論
植物由来のSAF生成は、環境問題への解決策として非常に重要です。今後の取り組みがどのように進展していくのか、私たちも注目していきたいところです。SAFの利用拡大が、持続可能な航空業界の実現に繋がることを期待しています。