ジビエの新たな可能性を探る「+GIBIERプロジェクト」
近年、日本国内で増加している野生鳥獣による農作物への被害は、深刻な社会問題となっています。この課題解決の一助として、東洋製罐グループは辻調理師専門学校、日本ジビエ振興協会と連携し、「+GIBIERプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトは、ジビエの利活用を促進することを目的としており、特にレトルト技術を活用した製品の開発が進められています。
プロジェクト発足の背景
農林水産省のデータによると、令和5年度における野生鳥獣による農作物被害は164億円に達し、年々その数字は増加しています。特にクマによる事故も増加しており、多くの地域で対応策が求められています。捕獲された野生鳥獣の多くは廃棄されており、利活用への取り組みは急務です。
「+Recipeプロジェクト」の第2弾としてスタートしたこの「+GIBIERプロジェクト」では、ジビエの新たな価値を見出し、持続可能な社会を目指すシステムづくりを試みています。
ジビエの利活用における課題
ジビエ利用には主に3つの課題があります。1つ目は「安全性」です。野生の動物からは感染症が懸念されるため、これを正しく処理し、安全に調理する必要があります。2つ目は「流通と保管」。捕獲された野生鳥獣は安定供給が難しく、流通の確保に困難さがあります。そして3つ目が「手間」です。ジビエの調理には専門知識が必要であり、提供する際の労力も少なくありません。
レトルト技術のメリット
このような課題を解決するために、レトルト技術が注目されています。加熱加圧殺菌を用いることで、ジビエは安全に食べることができ、しかも長期保存が可能になります。安定供給が難しいジビエにとって、この技術は非常に有効です。
簡単な調理で提供できるため、飲食店などでも扱いやすくなります。こうした点から、レトルトはジビエ利活用における重要な要素となるでしょう。
新商品「長野のジビエ三種缶」
このプロジェクトの成果として、12月に発売される「長野のジビエ三種缶」が注目されています。この商品の販売は、クラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」にて行われる予定です。レトルト技術を活かし、ジビエを手軽に楽しめる商品として、多くの人にその魅力を伝えたい考えです。
未来への展望
ジビエの利活用は、食文化の多様化だけでなく、社会全体の持続可能性にも寄与します。今後も「+GIBIERプロジェクト」は、ジビエの安全性や流通、手間に関する課題解決に向けて、さまざまな取り組みを進める方針です。不必要に廃棄される食材を減らし、地域経済の活性化を図ることで、豊かな未来の食の在り方を模索していきます。
このプロジェクトは、私たちの食卓に新たな選択肢を提供し、ジビエの魅力を広める素晴らしい試みです。食を通じた社会課題解決の新しい形を、あなたも一緒に応援してみませんか?