ラクトフェリンと免疫
2024-12-18 11:43:18

ラクトフェリンの驚くべき免疫調節メカニズムと健康への貢献

ラクトフェリンの驚くべき免疫調節メカニズム



森永乳業は、乳タンパク質の一種であるラクトフェリンについて60年以上にわたり研究を重ねてきました。この度、和歌山県立医科大学(橋本真一教授)との共同研究により、ラクトフェリンが免疫をどのように調節するのか、そのメカニズムが明らかになりました。この研究成果は、2024年12月13日に「International Journal of Molecular Sciences」に発表されました。

1. 研究の背景


ラクトフェリンは、牛乳から発見されたタンパク質で、涙液や鼻汁、唾液といった外分泌液にも含まれています。これらの液体は粘膜を覆っており、ウイルスなどの異物に常に曝されているため、ラクトフェリンがウイルスに対する免疫応答を調節する役割を果たしている可能性があります。過去の臨床試験でも、ラクトフェリンの経口摂取が末梢血中の免疫細胞の一種であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性を調節し、風邪様症状を軽度に保つ効果が確認されています。風邪の原因となるウイルスは、1本鎖RNAという遺伝子を持っています。pDCはTLR7と呼ばれる細胞内のセンサーを使って、このRNAを認識し、免疫物質であるインターフェロンα(IFN-α)を大量に産生します。インターフェロンαは、自然免疫系や獲得免疫系の幅広い免疫細胞を活性化するため、ラクトフェリンがpDCに働きかけることで風邪様症状を軽減する可能性があるのです。

2. 研究方法


研究では、健常成人から採取した末梢血を用いてpDCなどの免疫細胞を調製しました。この細胞に、ウイルス由来の1本鎖RNAやラクトフェリンを加え、それらがpDCの活性に与える影響を評価しました。また、TLR7を発現し、IFN-αの発現誘導に至るIFNシグナルを観察できるTLR7レポータ細胞を使って、ラクトフェリンがIFNシグナルに与える影響も調査しました。

3. 研究結果


1) ラクトフェリンの取り込み


ラクトフェリンは、貪食やラクトフェリン受容体のヌクレオリンを介してpDCに取り込まれることが確認されました。細胞にラクトフェリンを加えるとpDCの蛍光強度が高まったことから、pDCはラクトフェリンを取り込むことができます。

2) TLR7の感受性を高める


ラクトフェリンがTLR7の感受性を高め、IFNシグナルを増幅することもわかりました。TLR7刺激なしではIFNシグナルは誘導されないものの、TLR7刺激が存在すると、ラクトフェリンはそのシグナルを増幅し、pDCの活性化とIFN-αの産生を促進します。

3) 幅広い免疫細胞の活性化


さらに、ラクトフェリンはpDCだけでなく、自然免疫系や獲得免疫系に広がる幅広い免疫細胞の活性化も促します。具体的には、ミエロイド樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、キラーT細胞、ヘルパーT1細胞、B細胞の活性化が見られました。

まとめ


以上の結果から、ラクトフェリンは免疫を調節する重要な役割を果たすことが確認されました。涙液や唾液に含まれるラクトフェリンは、ウイルス対策において大きな力を発揮することが期待されます。森永乳業は今後もラクトフェリンの研究を進め、人々の健康に寄与できる特性を追求していく予定です。これからもラクトフェリンとその健康効果の研究に注目が集まることでしょう。


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