森絵都の短編小説が舞台に！『彼女のアリア』の魅力とは

直木賞作家・森絵都の短編集『アーモンド入りチョコレートのワルツ』に収められた短編小説『彼女のアリア』が、舞台『彼女のアリア J.S.バッハ〈ゴルドベルク変奏曲〉より』として舞台化されることが決定しました。この特別な舞台は、2025年10月24日と25日に東京文化会館の小ホールで上演されます。

シアター・デビュー・プログラムについて

東京文化会館が展開する「シアター・デビュー・プログラム」は、クラシック音楽、演劇、ダンスなどさまざまなアートが融合することで、若い世代に舞台芸術との出会いを提供する取り組みです。今年度のプログラムでは、主に中学・高校生を対象に制作された作品が注目されています。

舞台のストーリーと登場人物

この舞台では、不眠症に悩む少年「ぼく」と、嘘をついてしまうクラスメート「藤谷」の心の葛藤が、J.S.バッハの名曲「ゴルトベルク変奏曲」とともに描かれます。不安定な思春期に生きる若者たちの繊細な感情が、音楽とダンスを通じて見事に表現されます。

特に「ぼく」は不眠症に苦しみ、母からバッハのCDを手渡されるところから物語が始まります。彼が感じる不安や孤独感が、ロマンチックでありながらも心に響く演奏によって描かれるため、観る人々はその世界に引き込まれることでしょう。

演出には、若手の注目演出家・生田みゆきが担当し、音楽を手掛けるのは指揮者で作曲家の根本卓也です。彼らの新しいアプローチが、青春の悩みや苦しみを美しく伝える舞台を作り上げます。

魅力的なスタッフとキャスト

本作には、さまざまな才能が集結しています。演技陣には、藤谷役に北川理恵、ぼく役に久米俊輔が名を連ね、ダンスは中村蓉、野口卓磨、長谷川暢が担当します。ピアノ演奏には、東京音楽コンクールピアノ部門第2位の森下唯が登場し、その音色が舞台の魅力を一層引き立てます。

この他にも、振付や美術、照明など、様々なジャンルのアーティストたちが参加し、舞台を彩ります。特に、バッハの音楽が生み出す美しい空間で、感情豊かな演奏が繰り広げられるのがこの作品の大きな魅力です。

舞台のテーマと若者へのメッセージ

舞台『彼女のアリア』では、ただの青春ストーリーにとどまらず、思春期に生きる若者たちの複雑な心情や成長を掘り下げます。聴く人に共感を呼び起こすストーリーやメッセージが、観客にいかに影響を与えるのか、期待が高まります。

また、この公演は中高生を主な対象としているものの、小学生や大人にとっても劇場デビューに最適な作品となっています。観終わった後には懐かしさを覚えたり、新たな生き方の手がかりを見つけたりと、自分自身を見つめなおすヒントが得られることでしょう。