後継者不在のこんにゃく事業の再生
徳島県那賀郡那賀町に新たな風を吹き込む企画が始まりました。株式会社ストーンハートの代表、吉田大貴氏が、後継者のいないこんにゃく製造事業を引き継ぎ、“サムライこんにゃく”として再生する取り組みです。このプロジェクトは、ただの事業承継に留まらず、地域活性化や伝統的な日本の価値を世界に伝えることも意図されています。
海外で得た「日本の価値」と課題意識
約10年前、吉田氏はカナダのトロントを訪れました。そこで、多国籍の若者たちが活気あふれるビジネス環境で切磋琢磨する姿を見て、自身との意識の差を強く感じました。彼はその経験から、日本の伝統文化で勝負したいという夢を抱くようになりました。
帰国後、吉田氏は多くの伝統産業が後継者不足によって消える危機に直面していることに気づきます。彼はこの課題を解決しながら、日本の伝統事業を再生し、さらに地域の活性化にもつなげたいと考えました。
こんにゃく事業への道
実際に事業承継を実現するため、吉田氏は徳島県事業承継センターに相談。数度のやり取りを経て、やっと後継者不在のこんにゃく製造事業と出会いました。すでに製造がストップしていた事業でしたが、双方の条件が合い、再生に向けて動き出しました。
「サムライこんにゃく」の誕生
引き継いだこんにゃく事業は「サムライこんにゃく」として再スタート。その名称には日本文化に根差した精神や魅力を込めて、国内外で認知されるブランドを目指しています。
設立された株式会社ストーンハートは、地方の活性化をテーマに展開。しかし、地元の空き家を活用した飲食店の開業には困難が伴い、撤退を余儀なくされました。その後、徳島市のマルシェで「サムライこんにゃく」を販売し、地元の人々に受け入れられる存在感を示しています。完売が続出するなど、地域に新たな支持を広げています。
未来へのビジョン
今後は「サムライこんにゃく」を中心に、飲食店の展開を本格化させていく計画です。こんにゃくを利用した料理体験を通じ、日本の伝統的な食材の新たな魅力を発信していく場を創ります。地域の食材と文化を融合させたメニューを開発し、地元住民や訪問者が共に楽しめる拠点を目指しています。
さらに、SNSやマーケティングの手法を活用し、飲食店の運営も効率的に進め、成功を収めたいと考えています。このモデルを別の地域にも広めて、後継者不在の事業や空き物件の再生へとつなげていくことを目指します。
結びに
「サムライこんにゃく」の事業は、長年一人で製造を続けてこられたおばあちゃんから引き継いだもので、彼女の「この味と仕事を、誰かに託したい」という言葉が心に残ります。その想いを受け継ぎながら、地域に愛されるブランドへと成長させる挑戦が始まったのです。吉田氏は今後も、この伝統的な食文化を守り続け、次世代へとつなげていく覚悟で取り組んでいます。