イマーシブビデオの新たな可能性
2023年、株式会社MESONと博報堂DYホールディングスが共同で行った研究が、イマーシブビデオの体験に関する新しい真実を明らかにしました。この研究では、視聴者がどのように映像を体験するかに「撮影距離」が与える影響を探りました。
研究の概要
イマーシブビデオとは、視聴者が映像内の空間に入り込んだように感じる体験を提供するメディアタイプです。特に、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いることで、視聴者の視点が映像内に配置され、リアルな体験が生まれるのです。この研究では、STU48のライブパフォーマンスを題材に、2種類のイマーシブビデオを制作しました。一つは演者に近い距離から撮影されたもので、もう一つは離れた距離からのものでした。
主な結果
実験の結果として、近い距離から撮影された映像では体験者の「その場にいる感覚」が高まり、演者との心理的距離感が縮まることが確認されました。具体的には、近距離撮影の場合、視聴者が感じる「プレゼンス」が有意に高いことが分かりました。このプレゼンスは、視聴者が映像内にいると感じる力を強化し、演者に対する心理的な近さにも影響を与えます。
プレゼンスとは
プレゼンスは、体験者が映像によって提示される空間に自らが「そこにいる」と感じる主観的な感覚を指します。イマーシブビデオでは、カメラの位置が自分の視点として経験されやすく、そのため撮影距離は体験の質に直結します。この研究は、イマーシブビデオにおける視覚の枠を超えて、心理的・情動的な体験設計においても重要な要素であることを示唆しています。
実験の進行
実験には24名の参加者が登場し、近距離と遠距離のイマーシブビデオ体験を比較しました。体験後、彼らは演者に対する心理的な近さやプレゼンスの評価を行い、その結果、近距離映像を体験したグループは心理的近さのスコアが有意に上昇することが分かりました。
今後の展望
この研究の成果を基に、MESONと博報堂DYホールディングスはイマーシブビデオやXRを利用してさらなる顧客体験の価値向上を図っていくことでしょう。特に、ライブエンターテインメントや観光など、さまざまな分野での応用が期待されます。
今後、テクノロジーと生活者の理解、体験設計を掛け合わせ、新たなブランド体験を創出するための研究が進められることに期待が寄せられています。イマーシブビデオの可能性は、私たち視聴者の心に新たな距離感を生み出すことで、日常のエンターテインメント体験を一層豊かにしてくれることでしょう。
この研究成果は、2026年に論文として発表される予定です。その中でもファン層の違いやプレゼンスがどのように心理的距離に影響を及ぼすのか、より深い分析が行われることが期待されます。私たちのエンターテインメント体験が、どのように進化していくのか、今後も見逃せません。