美容室業界が直面する厳しい現実
最近の調査によると、美容室の倒産件数が2025年の初めから8月までの間に157件に達し、前年同期の139件を上回りました。これは3年連続の増加で、特に大手チェーン店や低価格のカット専門店との競争が激化する中で、少数の経営者が苦しんでいる現状を反映しています。
経営の苦境
経営者は多くの課題に直面しています。コストの増加だけでなく、人手不足も大きな問題です。スタイリストのフリーランス化が進んでいるため、スキルや知名度の高い美容師を雇うことが難しくなっています。また、現在のスタッフの中には低賃金と長時間労働からの改善を求めて流出する人も少なくなく、これが経営の維持に影響を及ぼしています。実際、2025年には美容室倒産のうち9件が「人手不足」を直接の原因として発生しました。
消費者の傾向と業績の二極化
2024年度の美容室の業績を見てみると、過去のコロナ禍を経て消費者の美容に対する支出は回復傾向にあるものの、依然として厳しい状況にある美容室が多いようです。一部では口コミやSNSを駆使して集客に成功し、利益を上げている事業者も存在しますが、約3割は赤字経営、さらに利益が減少している事業者も増えています。このことから、美容室業界では業績の二極化が進行中です。
顧客の来店頻度の減少
物価高による節約志向が高まる中で、多くの顧客がリピーターであっても来店頻度が減少しています。特に都市部では新規出店が相次ぐ中で、顧客獲得のために割引クーポンを発行せざるを得ない状況に陥る美容室も多く、実質的な値下げ競争が発生しています。このため、前年に比べて売上高が思うように伸びない美容室が目立つようになっています。
新しい価格戦略の模索
そこで、美容室では新しい対策として、サービスメニューごとに段階的な価格引き上げや常連客向けの特典プログラムを設定するなど、「値上げ」戦略を進める動きが増えてきています。また、プレミアムサービスの導入や、顧客データを活用したマーケティングの強化も重要なテーマです。
今後の美容室経営には、値上げに見合った価値を顧客にどのように届けるかが求められています。価格を見直し、デジタル技術を活用した新しいサービスの展開が、この業界における競争力を高めることにつながるでしょう。