音楽と映像が一体化した新境地、ドラマ『HEART ATTACK』の魅力

2023年11月、インドネシアのジャカルタで開催される「30th Asian Television Awards」において、ドラマ『HEART ATTACK』がBest Drama Series部門にノミネートされました。演出したのは、東京都渋谷区に本社を置く株式会社Black Cat White Cat Music。音楽がただの背景音に留まらず、物語やキャラクターを音で表現することを意識したこの作品は、視覚と聴覚が融合する新しいドラマ体験を提供しています。

ドラマの基本情報と理念

『HEART ATTACK』は、寛一郎と三浦透子が主演するフジテレビ製作のドラマで、3月にはFODにて全話配信されました。同社は、本作品の劇伴制作において、音楽が物語の中心に位置することを重視し、音を通じて登場人物や世界観の深みを引き出しました。特異な能力を持つがゆえに迫害を受ける「ヴァリアント」と、彼らを管理・制圧しようとする「VCM」という機関との対立構造においては、それぞれ異なる音楽のキャラクターが設計されています。

音楽的アプローチとは

迫害する立場にあるVCMには、インダストリアルで冷たい無機質な音を採用し、一方でヴァリアントには人間味あふれるオーガニックな音を使用。このコントラストによって、視聴者はキャラクターの内面や物語の葛藤をより深く理解することができます。音楽を通じた表現方法は、視覚的要素とも相まって、ドラマ全体の雰囲気を効果的に作り上げています。

ドラマの中では、街のスラムからの生活の厳しさやヴァリアントたちの苦しみを表現するために、即興的な音を取り入れるなど、リアルな音風景が描かれています。これにより視聴者は、ドキュメンタリー的なリアリティを感じることができるでしょう。また、制作された20〜30曲のテーマは、物語の進行に応じてリアレンジされ、キャラクターの成長や心理的変化に寄り添った音楽設計が施されています。

受賞歴と今後の展望

実は本作品は、9月に台湾の台北で行われた「ContentAsia Awards 2025」でも銀賞を獲得するなど、好評を博しています。このように国際的な評価を受けていることは、音楽が持つパワーと役割が改めて認識される証と言えるでしょう。

音楽制作に込めた思い

Black Cat White Cat MusicのCOOエリック・ライフは、作品に対する思いを次のように語っています。「『HEART ATTACK』の劇伴では、視覚と音楽が一体となり、登場人物や物語世界を音でも体感できることを意識して制作しました。ドラマの体験を豊かにする重要な役割を担っていると思います。」

新たなアプローチで制作された『HEART ATTACK』は、視覚と聴覚が調和した新感覚の作品として、多くの視聴者の心を掴んでいます。これからの展開にも期待が寄せられることでしょう。画面を通して音楽が伝える力、そしてそれが物語にどのように影響を与えるのか、目が離せません。今後もBlack Cat White Cat Musicの活躍に注目していきましょう。