音楽の国インドで日本アーティストが愛されるための新たなアプローチ
2026年6月11日、東京で「CEIPA x TOYOTA GROUP MUSIC WAY PROJECT」による音楽業界関係者向けのセミナーが開催されました。このセミナーは、東京国際ミュージック・マーケット (TIMM) の一部として行われ、インド市場に焦点を当てた内容で進行されました。参加したのは、JETROやYouTube India、Universal Music Indiaの専門家たちです。
セミナーの背景
「MUSIC WAY PROJECT」は、CEIPAとトヨタグループが共同で立ち上げた新しい取り組みで、日本の音楽産業を世界へ広めることを目的としています。今回のセミナーは、特にインドという急成長を遂げている市場において、日本のアーティストがどのようにして成功を収めることができるのか、その具体的な戦略を探るものでした。
平均年齢28歳のインド市場
最初のパネルでは、川崎宏希氏(JETRO)とジェニカ・カルラ氏(JETRO)がインド市場の特性を説明しました。今やインドは、平均年齢が約28歳という若い世代が多数を占める市場であり、音楽の消費が急速に変化している状況です。川崎氏は、地元企業との共創が日本のアーティストにとって不可欠であると強調しました。
日本音楽が「愛される」ために
ジェニカ氏は、インドの安価な通信環境がもたらすモバイルファーストの文化、さらに日本のアニメブームが、日本の音楽が受け入れられる土壌を作っていると述べました。そして、インドにおける日本音楽の受容が進化している理由について、詳細な分析が行われました。
実践的アプローチの必要性
続けて行われたラムプラサード・スンダ氏(YouTube India)とドリスティ・バティジャ氏(Universal Music India)のパネルディスカッションでは、インドならではの市場特性に基づく実践的なアプローチが議論されました。
スンダ氏は、現地の伝統文化と現代消費スタイルが融合した独特の環境下で、日本アーティストが成功するためには、現地の文化と共鳴することが必要だと述べました。藤井風の成功例を挙げ、アーティストが長期的に定着するためには、現地の価値観と合わせることが重要であると強調しました。一方、バティジャ氏は、音楽コンテンツをローカライズし、インドのリスナーとの信頼関係を築くことが必要不可欠であると指摘しました。
インド市場への戦略的アプローチ
次に、パネルディスカッションの中で強調されたのは、通常の市場アプローチとは異なる点でした。市場が多様かつ複雑なため、一度に大きな成功を狙うのではなく、小規模なコラボレーションや公演から徐々に展開を図ることが重要であるとされました。その上で、インド特有のプラットフォーム環境や文化的な配慮を理解し、柔軟に対応する姿勢が求められます。
最後に、登壇者たちは、日本アーティストがインドへ直接足を運ぶことで、現地のエネルギーを体感し、ファンとの距離を縮めることが成功のカギであると結論づけました。インドは膨大なクリエイターと熱量に満ちたファンが共存するユニークな市場であり、このプロジェクトを通じて日本の音楽がさらなる飛躍を遂げることが期待されます。