更年期女性の健康と生産性向上を目指す新プログラム
企業が抱える女性従業員に対する健康課題の一つが更年期です。この度、株式会社陽と人とパラマウントベッドが共同で開発した『DE&I対応型ヘルスリテラシー研修と更年期当事者の不調改善伴走支援プログラム』が、実際の企業で効果を実証しました。これは、更年期に差し掛かる女性従業員を対象にした支援プログラムで、セントラル石油瓦斯株式会社での実施結果が注目されています。プログラムは2024年6月から11月までの期間にわたり実施され、参加者の健康状態にどのような影響を及ぼしたのかがさまざまなデータを通じて明らかになりました。
取り組みの背景と目的
更年期を迎える女性は、環境的要因や身体的な要因からくる「見えない不調」に苦しむことがあります。これにより、業務の生産性やパフォーマンスに影響を及ぼすことがあるため、企業としてもこの課題に対処する必要があります。本プログラムは、女性従業員が抱える健康課題に対する包括的な支援を目的としており、知識研修や実践的なサポートを通じて、PCAの活用によって各自の健康状態を可視化することに重点を置いています。
プログラムの実施内容と成果
プログラムの内容は多岐にわたります。まず、基礎知識研修を行った上で、役職者向けのワークショップが実施されました。参加した従業員に対しては、約2ヶ月間にわたって睡眠計測やカウンセリングが提供され、個々の症状や特性に合わせたサポートが行われました。プログラムを受けた15名の参加者の中では、なんと8割以上の方が睡眠スコアの向上を実感し、約7割の方が更年期症状や不眠の改善を感じたという結果が出ています。このような成果は、企業の生産性向上だけでなく、従業員の生活の質を向上させることにもつながる重要なものです。
参加者の行動変容と評価
特に興味深いのは、プログラム参加者の約9割が自身の行動変容を実感したという点です。参加者たちは、自己評価を通じて、知識の向上や自尊感情の改善とともに、日常生活にポジティブな変化をもたらしました。これにより、数多くの従業員が自らの健康管理に積極的に取り組むようになり、職場環境の改善にも寄与しました。
専門家の見解
更年期に関する知識がなかった従業員たちは、プログラムの中で専門家の話を聞くことで自身の状況を見直すことができました。更年期カウンセラーである吉川千明さんは、「このプログラムによって、女性たちが体調の変化を受け入れるきっかけになった」とし、企業の取り組みを高く評価しています。また、セントラル石油ガスの代表取締役社長、太田晃さんも、自身の気づきについて「経営者として、女性従業員の健康課題を見落としていた可能性を痛感した」と述べ、その重要性を強調しています。
今後の展望
今後は、より多くの企業がこのプログラムを導入することで、女性従業員の健康に対する理解が深まり、さらなる職場環境の改善が期待されます。更年期や女性特有の健康課題が経営課題として取り上げられることで、全体の生産性の向上につながることでしょう。企業と従業員が共に健康を意識する社会を目指して、これからも取り組みは続いていきます。