新たな研究成果:乳酸菌の力で免疫を維持
最近、キリンホールディングスのヘルスサイエンス研究所が発表した研究結果が、健康に対する新しい見解をもたらしています。独自素材である「乳酸菌L.ラクティスプラズマ」が、高温の環境下でも免疫細胞の活性を減少させずに維持することが確認されました。この重要な研究成果は、7月29日、東京大学の弥生講堂で開催される「微生物ウィーク2025」にて発表される予定です。
研究の背景
今回の研究では、ヒト由来のプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を使い、高温の影響を受けた場合の免疫の変化について調査しました。pDCはウイルスや病原体から身体を守る重要な免疫細胞であり、その活性を維持することは私たちの健康にとって極めて重要です。
研究では、37℃と38.5℃の二つの温度で細胞を培養し、インフルエンザウイルスの抗原を添加するという方法がとられました。その結果、通常温度ではpDCがウイルスを制御するための物質、インターフェロンα(IFN-α)を分泌しましたが、38.5℃ではその分泌が抑制されることがわかりました。つまり、高温環境ではpDCの免疫機能が低下する傾向があるのです。
乳酸菌の効果
しかし、驚くべきことに、「乳酸菌L.ラクティスプラズマ」を添加すると、インターフェロンαの分泌量は37℃での場合の約25倍に増加しました。これはつまり、高温環境下でも乳酸菌が免疫細胞の活性をサポートし、感染症に対する抵抗力を強化することができるということを意味しています。この研究成果が示唆するのは、熱中症対策として、乳酸菌を取り入れることで免疫機能の維持が期待できるということです。
熱中症と免疫
医学博士の西﨑泰弘氏は、熱中症が硬直化した免疫系にどのように影響を与えるかについて詳しく解説しています。昨年、日本では過去最高の9万7578人が熱中症のため救急搬送され、その中で120人が死亡する事態も発生しました。今年の猛暑が予測される中、しっかりとした対策が求められています。
本研究では、熱中症患者の多くが「多臓器不全」という状態に陥ることが知られています。これは、免疫系の異常からくるエンドトキシンが体内に広がることから悪化することが判明しています。高温や脱水が免疫系をダメにし、身体を守るサイクルを崩してしまうのです。
乳酸菌の普及と未来の健康
キリングループは、「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、食から医療にかけて価値を提供する企業を目指しています。この一環として、乳酸菌L.ラクティスプラズマを用いた製品を展開し、日常的に免疫をケアしながら健康的な生活を送ることができる社会を築いていくことを目指しています。
私たち一人ひとりが日常的に免疫のケアを行い、熱中症の予防に努めることが大切です。ぜひ、乳酸菌を取り入れた生活を実践して、健康を維持していきましょう。