がん患者の栄養管理に関する意識調査
2024年7月、森永乳業グループの森永乳業クリニコ株式会社と一般社団法人キャンサーペアレンツは、がん患者が直面する栄養管理についての意識調査を実施しました。この調査は、過去2017年及び2021年に続くもので、がんを抱える患者やその医療従事者の栄養に関する意識の変化を探ることが目的です。
がんと栄養管理の重要性
日本では、がんは一生のうちに2人に1人が罹患すると言われています。治療を受けるがん患者にとって、栄養状態を維持することは、治療を続ける上で非常に重要であり、患者の生活の質(QOL)の向上にも寄与します。今回の調査によって、がん患者と医療従事者の間で食事や栄養に関する相談の機会が増加していることが明らかになりました。
栄養相談機会の増加
調査の結果、がん治療中に医療機関で栄養や食事について相談する機会があったと回答した人が50%に達し、前回調査に比べ8%の増加が見られました。その一方で、相談したいと考えている患者も多く、74%の方が「相談の機会があれば利用したい」と回答していました。さらに、栄養補助食品の紹介を受けた割合も45.8%に増加しており、この流れは診療報酬改定の影響も考えられます。
摂取したい栄養素の変化
また、がん治療中に重視される栄養素に関しても変化が見られました。特に「エネルギー」の重要性が増し、9.8%の増加が報告されました。このことは、医療現場においてエネルギー摂取の必要性が広まってきたことを反映しています。他にも「たんぱく質」や「乳酸菌」が評価されていますが、エネルギーの摂取に対する意識の高まりは注目すべきポイントです。
情報取得の不足
調査では、「緩和ケア」や「在宅医療」に関する情報取得の機会も焦点となり、緩和ケアに関する情報を得ている方は僅か3割にとどまりました。また、在宅医療に関しては1割程度の方しか情報を得ていないとの結果が得られ、情報の提供不足が浮き彫りになりました。がん患者やその家族が必要とする情報を早期から得られる環境作りは、今後の課題です。
まとめ
今回の調査からは、がん患者が求める栄養相談の機会が増加している一方、必要な情報が不足している現状も明らかになりました。森永乳業クリニコとしては、患者が必要な情報を得やすい環境を整えつつ、医療従事者との連携を深めることで、学びや支援を提供していく姿勢が求められています。今後も、がん患者のQOL向上に向けた取り組みを推進していくことが重要です。