L.ラクティス プラズマの新型コロナウイルス感染抑制効果
2021年からキリンホールディングス株式会社が国立感染症研究所と協力し、乳酸菌「L.ラクティス プラズマ」の研究を進めてきました。最近の研究では、同菌の経鼻接種が新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルスの増殖を抑制する効果を示すことが確認され、特に鼻組織においての免疫応答が注目されています。
研究の背景と目的
新型コロナウイルスのパンデミックを受け、日本政府はワクチン開発の強化に力を入れてきました。その中で、自然免疫を強化するワクチンの開発が模索されています。これまでの研究で「L.ラクティス プラズマ」が低下した自然免疫応答の回復を助け、感染症予防に寄与する可能性が示唆されてきました。
今回、LGG乳酸菌との比較を通じて、プラズマ乳酸菌の具体的な作用機序を解明することが目的とされています。特に、自然免疫のひとつである形質細胞様樹状細胞(pDC)の働きについての理解を深めることが期待されます。
研究成果:pDCの活性化と抗ウイルス遺伝子発現の増強
研究の結果、「L.ラクティス プラズマ」を経鼻接種したグループは、LGG乳酸菌接種群に比べてpDCの割合やその活性化マーカーであるCD86の発現が増加し、6時間後には特に顕著な変化が観察されました。また、抗ウイルス遺伝子の発現も増加し、これはウイルスに対する防御機能が強化されることを示唆しています。
ウイルス増殖抑制効果の発見
研究では、L.ラクティス プラズマ経鼻接種が新型コロナウイルスの増殖を抑制する能力があることも確認されました。特に、最終接種から1日後に行ったウイルス量の解析では、プラズマ接種群がLGG乳酸菌接種群よりもウイルス量を低下させる結果が得られました。これは、新型コロナウイルスに対する強い防御作用を示すものです。
今後の展望
研究成果は国内の学会でも発表され、注目を集めています。キリンは今後も「L.ラクティス プラズマ」の作用機序をさらに検討し、その結果を基に健康の向上に寄与する製品開発を目指していく予定です。自然免疫を活性化するワクチンとしての実用性の高い可能性を持つプラズマ乳酸菌の研究は、感染症予防に新たな方向性を示すものとなるでしょう。
私たちの健康に寄与する可能性が広がる中、今後の進展に注目が集まっています。“L.ラクティス プラズマ”が、より多くの人々の健康を守る手助けとなることに期待しつつ、これからの研究成果を楽しみにしたいと思います。