DIOR2026年クルーズコレクションがローマで公開
2026年のDIORクルーズコレクションがローマのヴィラ アルバーニ トルロニアで発表されました。今回のコレクションは、クリエイティブディレクターであるマリア・グラツィア・キウリの自身の体験や感情が深く反映された作品です。このコレクションは、まるで彼女の自己表現のようとも言えるもので、特定の時期の感覚や感情の集約が感じられます。
脚本家エンニオ・フライアーノへのオマージュ
展示される服たちは、映画『8 1/2』の脚本を手掛けたエンニオ・フライアーノが提案したタイトル「Bella Confusione(美しい混乱)」を想起させます。彼女はフェデリコ・フェリーニの世界観を取り入れ、ファッションの歴史と現代の要素を融合させた、特別な隠喩的コレクションを礎にしています。このように、商業的な要素を超え、より深い意味へとアプローチしています。
独自の視点から見るファッション
ウィメンズファッションにおける男性的な要素も取り入れられており、特にメンズのワードローブからインスパイアされたデザインが印象的です。例えば、ラペル付きのベストやテールコートが、ロングフルスカートと組み合わされ、見事なコントラストを生み出します。また、華やかなレースが使用されたドレスや、バスレリーフ模様が施された作品も見どころです。
さらに、ミリタリージャケットはブラックのボタンと縁取りでスタイリッシュに仕上げ、ドレスには祭服を彷彿とさせる特別なデザインが加味されています。注目すべきは、ブラックとレッドのベルベットで仕立てられたショートドレス。このアイテムは、映画『甘い生活』に出演したアニタ・エクバーグに捧げるオマージュとして、フォンタナ姉妹に敬意を表しています。
デザインの核心
加えて、ゴールドのベルベットを用いたドレスも登場し、独自の洗練された形を際立たせています。キウリは、さまざまな素材を駆使し、「ホワイト」というテーマを中心に展開し、重いものから軽いものまで、無限の表現を模索しています。彼女特有の視点でローマの風景や人物、物語、神話を再解釈しており、観客に感情的な深さを提供します。
舞台美術と映像による表現
コレクション発表の舞台となったヴィラ アルバーニ トルロニアは、舞台芸術と現代建築を融合させたファッションショーの発祥地としても知られています。マリア・グラツィア・キウリは、ルネサンス様式の庭園の特質を重視し、各シーンをまるで舞台演出のように展開しました。
また、コレクションに合わせて、マッテオ・ガローネ監督の映像作品『Les Fantômes du Cinéma(映画の亡霊たち)』も披露され、視覚的なストーリーが広がりました。
このようなダイナミックな表現は、ファッションだけでなくアート全体への新しいアプローチを示しており、観客一人ひとりに強い印象を残します。
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2025年5月27日、ローマの新進芸術やファッションに触れる特別な一日となったことでしょう。DIORの最新コレクションは、ただ美しいだけでなく、感情を刺激する作品群として私たちに強く訴えかけてきます。