広島での新たなメイクの形、ブラインドメイクセミナーが開催
8月10日、広島市で視覚障害者支援団体「視覚障害者の自立をすすめる会」と一般社団法人日本ケアメイク協会の協力により、新しい化粧文化である「ブラインドメイク」を体験するセミナーが開催されました。このイベントでは、約18名の女性と5名の男性が参加し、参加者は自身の手でメイクを施す喜びを感じながら、ブラインドメイクの技術を学びました。
ブラインドメイクとは何か
ブラインドメイクは、視覚障害を持つ方々が鏡を使わずにフルメイクを行うための技法です。手指の感覚を大切にしながら、化粧の楽しさを味わうことができます。この技術は、2010年に大石華法氏によって考案され、クオリティ・オブ・ライフの向上に貢献するものと注目されています。
現在、日本国内には障害者手帳を持つ視覚障害者が約30万人、また手帳を持っていなくても視力に不便を感じる方が約160万人いるとされています。このような背景から、「ブラインドメイク」を通じて自身を表現する機会を広めることが重要視されています。
セミナーの目的と流れ
このセミナーの目的は、視覚障害を持つ方々がブラインドメイクを体験し、心の変化やメイクを楽しむことの重要性を実感していただくことです。また、より多くの方にこの技術の存在を知ってもらい、情報が必要な方々に届くきっかけとなることも期待されています。
当日は、参加者に対してまず化粧訓練士から、ブラインドメイクの基礎や具体的な手法について説明が行われました。その後、参加者は自らの手で口紅やチークのメイクを体験しました。この際、口紅には無色のリップバームが使用され、男性も安心して体験できる環境が整えられました。手技を学びながら、和やかな雰囲気の中での体験は、参加者同士の楽しい交流へと繋がりました。
参加者の感想
参加した皆さんからは、メイクを通じて自己確認をする嬉しさを実感したという声が寄せられました。「自分の唇の形を再発見できた」、「視覚を持たない私たちにも美しさの追求をしていくことができると感じた」といった感想は、ブラインドメイクの影響力を示しています。参加者の中には、メイクアップの楽しさを再確認し、心が明るくなったという意見も多くありました。
今後の展望
日本ケアメイク協会は、今後もセミナー活動を通じてさらなる可能性を広げていく予定です。また、視覚障害を持つ方々の自立を支援するため、多くの団体との協力を通じて、「ブラインドメイク」の技術をより多くの方に届けていくことを目指しています。今回のセミナーは、参加者一人一人に自信を与える素晴らしい機会となりました。
このように「ブラインドメイク」は、ただの美容法ではなく、自己表現や自立の大切な手段であり、未来に向けた希望の光となり得るのです。今後も多くの方にこの技術が広まり、各自の個性を輝かせることにつながることを願っています。