第10回「マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン」受賞者の発表
このたび、第10回「マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン」の受賞者として、インドネシア出身のアーティスト、ディアン・スチが選ばれました。この賞は新進および中堅の女性アーティストの支援を目的とし、受賞者にはイタリア各地を巡る6か月間のレジデンシープログラムが提供されます。このプログラムを通じて、ディアン・スチは自らの提案したプロジェクト「Crafting Spirit: Cultural Dialogues in Heritage and Practice」を発展させます。
受賞者の背景と選考のプロセス
ディアン・スチ氏は、アジアのアートシーンにおいて注目を集めるアーティストであり、家庭的な物語と国家権力の交錯をテーマに、多様なメディアでその表現を広げています。彼女はベティ・アディ、ジクラ・アフィファ、イペ・ヌール、ミラ・リズキを含む5名の候補者から選び抜かれ、審査はセシリア・アレマーニを委員長とする各分野の専門家によって行われました。
ディアン・スチの作品は、私たちの生活や文化に潜む権力構造や女性の経験を深く掘り下げ、しばしば政治的な抵抗のメッセージを含んでいます。彼女のアートは、インスタレーション、絵画、彫刻、映像などを融合させた形式で、観る者に思考を促します。
プロジェクトの内容
「Crafting Spirit: Cultural Dialogues in Heritage and Practice」では、インドネシアとイタリアの宗教的工芸の伝統が持つ影響力を探求します。具体的には、信仰の商業化や搾取といった現代の課題に焦点を当て、身体的な所作や手仕事の中に潜む信仰や儀礼性を表現します。スチはこのプロジェクトを通じて、過去の文化に根差した信仰と現代の生活がどのように交わるのかを探求したいと考えています。
彼女は「クラフトは生きたアーカイブであり、文化的変容を反映する重要なメディアです」と語り、精神性を宗教的な領域だけにとどまらせず、身体の反復的行為を通じて表現することを目指しています。
レジデンシーの重要性
レジデンシープログラムは、ウンブリア州アッシジから始まり、ローマ、プーリア州レッチェ、フィレンツェへと続きます。各地でのプログラムは、スチの技術の向上や新しい視点の獲得を促します。また、これによって彼女自身のアートやプロジェクトがどのように発展するのか、期待が高まります。
コメントと期待
ディアン・スチは「『マックスマーラ・アート・プライズ・フォー・ウィメン』の受賞に感謝いたします。この機会で、信仰と生存の狭間にある女性職人の物語に触れることで、より深い作品を創作したい」とコメントしています。さらに、マックスマーラファッショングループの会長ルイジ・マラモッティ氏は、「ディアン・スチのプロジェクトが東西のアートと工芸の対話を生むことに期待しています」と語りました。
今回の受賞は、アートを通じた新たな文化交流の起点でもあり、2026年5月には、ヴェネチア・ビエンナーレでその成果が発表される予定です。アートが持つ力で文化やコミュニケーションの新しい形が生まれることを期待し、今後の彼女の活動にも注目していきたいと思います。