坂上泉の傑作「渚の螢火」がドラマ化!
今年の秋、WOWOWで放送予定の連続ドラマ「1972 渚の螢火」が高橋一生さん主演として実現することが発表されました。この作品は、坂上泉さんがペンを執った小説であり、これに伴って双葉文庫より文庫版も刊行されました。
あらすじと背景
「渚の螢火」は1972年を舞台にした物語で、その年の5月15日に沖縄本土が復帰する重要な日を迎えます。この日を控え、沖縄ではドル札から円への交換作業が進められていましたが、その最中に深刻な事件が発生します。現金輸送車が襲撃され、なんと100万ドル(当時のレートで日本円に換算すると3億円以上)が奪われてしまうのです。
秘密裏に進められる捜査
沖縄の復帰を目前に控える中で、事件は外交問題に発展する可能性があり、琉球政府や警察はこの事件を秘密裏に解決するよう命じます。警部補の真栄田太一は、様々な困難と葛藤を抱えながらも捜査を開始します。物語は、彼の視点を通して、戦中・戦後の日本が抱える理不尽や矛盾を描き出します。
戦後沖縄の姿とサスペンス
著者の坂上泉さんは、沖縄の歴史的背景を踏まえた上で、サスペンス性を兼ね備えた作品に仕上げています。物語は、沖縄の象徴である主人公を中心に展開され、彼が直面する苦難は、読者に深いメッセージを届けます。特に注目されるのは、沖縄返還の日と物語の結末が見事に繋がる点です。これにより、物語は円環的に閉じ、スリリングなクライマックスを迎えます。
著者プロフィール
坂上泉さんは1990年に兵庫県で生まれ、東京大学で近代史を学びました。2019年には「明治大阪へぼ侍西南戦役遊撃壮兵実記」を執筆し、第26回松本清張賞を受賞しました。また、二作目である『インビジブル』は第164回直木三十五賞候補にもなり、注目の作家としてその名を轟かせています。
ドラマ化の詳細
このドラマでは、高橋一生さんが主演を務めるほか、脚本は常盤司郎さんと倉田健次さんが手掛け、平山秀幸監督がメガホンを取ります。音楽は安川午朗さんが担当し、制作には東北新社が関与しています。
放送日は2025年秋が予定されていますが、詳しい情報はWOWOWオンラインの公式サイトで随時発表される予定です。
「渚の螢火」は文学的な深みとエンターテイメント性を兼ね備えた作品で、読者や視聴者を魅了すること間違いなしです。この機会にぜひチェックしてみてください!