マックスマーラ2026年春夏コレクションの魅力とロココのエッセンス

マックスマーラ2026年春夏コレクションの魅力

2026年春夏コレクションが発表されたマックスマーラは、洗練されたミニマリズムの中に、時折のびやかに広がる曲線が印象的なデザインを展開しました。今回のテーマは「Rococo Modern」。厳格さと遊び心が見事に融合したコレクションの内容について詳しくご紹介します。

新たな装飾美の発見

コレクションの中でも特に印象的なのは、トレンチコートに施された細やかな“コロナ”と呼ばれる装飾です。これは布を精緻に折り畳んだもので、王冠のように美しく放射線状に広がり、まるで生きているかのような躍動感を感じさせます。このように、厳格なディテールの中に華やかさを加えたデザインは、アカンサスの葉や鳥の羽を思わせる立体的なディテールで彩られています。

自然を感じるデザイン

一方、ストイックなペンシルスカートには、海洋生物の壮麗な冠を想起させる軽やかなクレストが施されています。オーガンザ製のスカートは、異国の花弁やイソギンチャクの触手を模した何百ものカット＆フォールドが施され、見る者を圧倒します。また、全体的な色合いは非常に繊細で、ロココの女王たちが好んだ淡いパステルカラーを連想させるものとなっています。

幻想的な要素と現実の結びつき

マックスマーラの新コレクションは、ほんのりとした異世界性を感じさせる一方で、現実の洗練さを絶妙に取り入れています。ブラックのエラスティックベルトやハーネス風ストラップ、ジャケットやローライズパンツは、ポンパドゥール夫人が体現した機知を映し出し、幻想的な要素を日常へと引き戻しています。

ロココと個人主義

作家・嶽本野ばらによれば、ロココは道徳や真実よりも優雅さや甘美な感情、幻想を重んじ、究極の個人主義を体現するものとして描かれています。彼はロココを「いかなる哲学よりもパンクロックやアナーキズムの精神」を象徴するものと定義しました。このように、ロココはただの装飾美ではなく、深い哲学的背景を持つスタイルとして再評価されています。

マダム・ド・ポンパドゥールの影響

マダム・ド・ポンパドゥールは、マックスマーラが称賛する“Remarkable Women”の系譜に名を連ねるべき人物です。彼女は生まれながらの貴族ではなく、自らの力でその地位を築き上げました。彼女は芸術を守り育て、哲学的な議論を楽しむことで、より良い社会の実現に寄与しました。

自然の力強さをもって

また、ロココの名はフランス語の「rocaille」（岩や貝殻装飾）に由来しており、非対称や自然をモチーフにしたデザインも特徴的です。動植物や海洋生物、鳥類を描いたプリントは、風の流れを感じさせるエーテルのようなオーガンザに巧みに閉じ込められています。マックスマーラは、遊び心の中に力を、気まぐれの中に優雅さを、軽やかさの中に強さを織り交ぜました。