新しい顧客体験を提供するAI接客サービス「Co店長」の全貌

飲食業界に革新をもたらす「Co店長」とは

最近、飲食業界における接客スタイルが変わろうとしています。この変化をリードしているのが株式会社KMSと株式会社すかいらーくホールディングが共同で開発したAI接客サービス「Co店長」です。この取り組みは、最新のAI技術を駆使して、顧客との接点を増やし、より良い体験を提供することを目指しています。

1. AI事業の背景

KMSは、ゲーム開発や運営の知識を活用し、各業界の特有な課題を改善するためのAIソリューションを提供しています。「Co店長」は、AIを用いて業務効率を高め、ユーザーが簡単にAIを利用できる環境を整えることを目指してスタートしました。具体的には、AIのUI、Development、UXという三要素を有機的に結び合わせ、新たなテクノロジーへの挑戦を行っています。

2. 「Co店長」の登場の背景

すかいらーくグループでは、デジタルメニューブックや配膳ロボットといったIT施策により、店舗運営の効率性を向上させています。しかしその一方で、接客を担当するクルーと顧客との接点が減っているという課題も浮かび上がってきました。「Co店長」は、そんな課題を解決するために生まれたプロジェクトです。人による接客サービスを強化しながら、AIで補完することで、顧客体験の向上を図っています。

3. AI接客の具体的な取り組み

新たな取り組みとして、Azure OpenAI Serviceを活用した「Co店長」がガスト秋葉原店に導入されました。AIが搭載されたデジタルメニュータブレットを通じて、来店客との会話を実現し、注文をスムーズにサポートします。具体には、AIが学習したデータとガストのメニュー情報を組み合わせた提案機能も搭載されています。

システムの構築は2024年3月から始まり、来店客との会話を要約した日報の自動生成も実現。2024年9月からは、実際の店舗での実証実験が進められています。

4. どのような影響があったのか？

実際に「Co店長」を導入することで、顧客との丁寧で豊かな会話が可能になりました。ある顧客はAIロボットとの会話を楽しむあまり、リピーターとなっています。AIロボットには「研修中」のバッジが付けられ、少しの抜け感が親しみを生む要因にもなっています。その結果、顧客同士やAIロボとの間でも「ありがとう」といった心の交流が生まれ始めています。

ただし、今のところ顧客体験の向上が確実だと言える段階ではありません。しかし、実店舗でのAI活用が新たな発見につながり、マーケティングチームや店舗クルーから新しい活用アイデアも提案されています。

一例として、厨房におけるAIの活用が考えられています。新メニュー改定時に必要なレシピ情報を生成AIで提供できないかという声が上がっており、AIロボ・キッチンバージョンの開発も既に始まっています。